北一出身の白鳥沢マネージャー【2nd season】【ハイキュー】

𓂃 𓈒𓏸62𓏸𓈒‬‬ 𓂃 ページ16

*



「話してねぇよ」



金田一が吐き捨てるように言った。

素直なようで、全然素直じゃないな。相変わらず。
いつからだったか、影山に当たりが強くなって、今もずっと嫌いなんだろう。

だけど、金田一は基本的に滅多なことで怒らないし面倒見もいいから後輩達から好かれていた。そもそも、あのときみんなが影山のトスを無視したのは、影山にも非がある。

いいやつなの、ちゃんと知ってる。


こうして振り返ってみると、本当はわかっていることだらけだ。

でも私はショックだった。ただ、どうしてショックだったのか、それを説明するのは難しい。今まで大切にしてきた何か、壊れたような、そんな感じ。



「ふーん……」

「でも烏野の方が幸せそうだった」



国見が静かな声で言った。



「少なくとも、俺達といるよりは」

「そんなの……」

「でも葉山だって見てたじゃん？ “あの時”さ」



あの時。そう言われると、私は押し黙ってしまう。
窓を見ると、そのガラス窓は年季が入っているせいなのか濁って汚れて、透明ではなくなっていた。



「あそこに、影山を受け入れる人なんていなかった。及川さんだって嫌いだったし、しかも俺達はトスを無視した」



＿＿＿“ただ、それだけ。”


その言葉は、私が予想していたよりも遥かに容易に、するりと脳に入って、脳は瞬時に理解して私の心へ届けてきた。

中学時代から引きずってきた何かが、ギシギシと音を立てている。まるで、老朽化して崩れ落ちる寸前のような。



「それだけなんだよ。葉山」



それだけ。それだけ。


＿＿＿＿本当に？



口下手で、無愛想で、なかなか自分から積極的なコミュニケーションが取れず、仲良くなれても大事なところで気の利いた言葉ひとつかけてあげられない。

あの時、仲裁に入れるのは私だけだったにも関わらず。


もしかすると、誰も悪くないなんて、そういう表現が悪かったのかもしれない。

みんな悪かった。だから、中和して、誰も悪くないように見えただけ。“仕方ない”ふうに見えただけ。



こんなこと、ぐだぐだ考えたって意味はない？
今、私だけが彼らと違う。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

【本当はオチはこうするつもりだった＿＿＿】


「……ってことで、ごめん。ほんとに人権の危機を感じるからフランス革命(トイレ)をしてくる」

「おう、してこい」

「べつに人権無くてもいいんじゃない？」

「国見(お前)なんかあったなら話くらい聞くぞ？」

𓂃 𓈒𓏸63𓏸𓈒‬‬ 𓂃→←𓂃 𓈒𓏸61𓏸𓈒‬‬ 𓂃

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す