北一出身の白鳥沢マネージャー【2nd season】【ハイキュー】

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違う、そうじゃない＿＿＿＿。


期待はずれな言葉に愕然としていると、武藤先輩も思わず「へ？」と素っ頓狂な声を上げた。



「あ……」



三年生の先輩は、『間違えた！』という顔をして口を押さえた。



「あ、えっと……。……ごめん！ なんでもない……！！」

「え！？ 嘘！ 中井さぁぁーーん！！」



武藤先輩の制止も虚しく、中井さんというらしい三年生は走って去っていってしまった。

私は長い溜息をついて、腹いせに思いっきり自販機のボタンを押した。ピッと音が鳴ってペットボトルがゴトンと落ちてくる。



「ん？ あ……バレー部のマネージャーの」



自販機の音で私に気づいた武藤先輩がひょっこりと顔を出す。
私は真顔で彼を見つめ、そして彼の手を取ると、ポン……とペットボトルを手渡した。くるっと背を向けて歩き出す。



武藤先輩……。長い長い恋路になっても、諦めずに突き進んでくださいね＿＿＿＿。




＊



最終的な結果は、やはりというべきか三組が一位だった。
また牛島教の信者が増える……。


片付けのあと、クラスで軽い打ち上げをすることになり、近くのファミレスのパーティールームが予約できたのでそこでご飯を食べることになった。



「次の行事、文化祭だよね。女子でさ、動物の耳のカチューシャみたいなやつ付けて写真撮らない？」

「あー！ ソレいいね！ 可愛い！」


「……それでさぁ、あいつっ……障害物競走中に、ズボンズレてパンツ、見えててっ……！！」

「はははは！！ マジ！？」




既に次の行事のことを考えている女子と、特有のバカ話で盛り上がっている男子。そして、男女共通で話題に上がったのはもちろんあのこと。




「部活動対抗リレー！ めっちゃ面白くなかった？」

「サッカー部の部長とバレー部の部長な！」

「……テカゲン？」

「地味に似てんのやめろよ」

「サッカー部の部長さあ、体育祭終わったあとに聞いたんだけど、告白し損ねたらそれを見てた一年女子に哀れな視線で慰められたって言ってたよ」



それは私です。

さすがにそんなことを言える勇気はなく、武藤先輩のことを思い出して適当に笑わせてもらった。


こうして、高校初の体育祭は幕を閉じたのだった。




＿＿＿＿

【武藤晴輝(はるき)】

高等部 三年三組。サッカー部の部長。
お笑いと隣のクラスの中井さんが好き。いいやつ。
昔、迷子の子供をセンターに届けたあとも親が見つかるまで付き添ってあげた。たぶん再登場する。

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