氷の火山【サターン】【プラチナ】 (ページ22)

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【第3章】咲き違うページ22

*

コウキ side

俺とジュンと、ヒカリとナナカマド博士。
ミオ図書館でナナカマド博士の話を聞いていると、突然地震のような大きな揺れが起こった。

バサバサと本棚から本が落ちていく。

しばらくしてから揺れは収まったが、かなり強い揺れだったので、他の利用者もキョロキョロと辺りを見渡したり、地震情報を調べたりしていた。

図書館の外に出て、ナナカマド博士が口を開く。

「先程の揺れ……自然のものではないようだな」

地震じゃない？じゃあ、何が＿＿＿。

「おいっ！聞いたか！」

船乗りの男の人が駆けつけてきて、焦った声色でこう言った。

「リッシ湖で大爆発が起こったそうだ！」

＿＿＿＿『近いうちに、三つの湖でギンガ団が事件を起こす』

あのときのウラヌスの声が蘇る。
ヒントはミオ図書館にあると言っていたウラヌス。

ミオ図書館でナナカマド博士から聞いたのは、湖の伝説ポケモン。

まさか、と目を開いてハッとした。

ギンガ団は、伝説のポケモンを＿＿＿＿！

考えた途端、いても立ってもいられなくなり、気づいたらリッシ湖へ走り出していた。

「……コウキくん！」

ヒカリが俺を呼び止めようとする声が聞こえた。
でも俺は振り向けなかった。

嫌な予感がしたのだ。
今ここで走らないと、何もかもを失うような、消え去ってしまうような、そんな予感が。

＊

ガチャン、と鳴った無機質な金属の音。
右手首に手錠をかけられてその場から動けない。

もう片方の輪が鉄の棒にかかっているのを、Aは何の感情もない凍りついた瞳で見つめていた。

手持ちのポケモン達はみんな奪われた。

サターン曰く、処分はアカギの計画が全て終わってから、らしい。

窓ひとつない拘置室は、びっくりするほど寒かった。

薄暗い天井を仰いで、Aは足を曲げて膝に顔を埋める。

Aは、自由になりたかった。
何のしがらみにも囚われず、コウキのように広い世界を見てみたかった。

なのに自分は、そんな淡い小さな願いすら叶わない。

＿＿＿＿『サターンってアンタに過保護よね』

サターンにとってAは、捨て駒ではなかったとやっぱり思う。

サターンにとってAは、国際警察に対抗するための餌だったのだ。

だから、最終計画が進むまでずっと、どこにも行かないように、勝手に死なないように、管理し続けていたのだ。

「なにそれ……ひっど」

乾いた笑いが、ひどく寂しく狭い部屋の中に響いていた。