氷の火山【サターン】【プラチナ】 (ページ14)

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「ええー……それは、言われてみればよくわかんないけど」

ハヤシガメをモンスターボールに戻し、俺は頬をかいた。

どうして強くなるのか。
どうして旅をするのか。
それは何のためなのか。

そういえば、ちゃんと考えたことなんてなかった。

「えーっと、最初はさー……好奇心？みたいな」

ウラヌスは表情一つ変えなかったが、それでも聞く気はあるようで、俺を真っ直ぐ見据える。

「赤いギャラドスって知ってる？」

「ああ……ジョウトの湖にいるギャラドスね」

「そうそう。俺、ジュンっていう幼馴染がいるんだけど、それをテレビで見たジュンがさ、『湖行こうぜ！シンオウの湖にもあんなのがいるはずだ！』って。なんか、そう思ったみたいで」

俺とお前で見つけるんだ！なんて言うから断りきれずにシンジ湖まで一緒に行ったら、野生ポケモンに襲われてしまった。

そのときたまたま、ナナカマド博士が忘れていった鞄の中にモンスターボールを見つけて、そのとき手に取ったモンスターボールがナエトル＿＿＿今のハヤシガメだった。

「博士にポケモン図鑑の完成を頼まれたのが、旅を始めたそもそもの始まりで……ポケモンジムの挑戦は、ジュンが『強いトレーナーになる』って言ってたから、その影響で……みたいな。けっこう不純な動機だったんだ」

自分がポケモンと一緒に旅に出て、ポケモン図鑑の完成、ましてや八個のジムバッジを集める＿＿＿なんて、想像もしていなかった。

「でも今は、ポケモン達と一緒に強くなれるのが嬉しい。強くなることで、本当は見ることもなかったような景色が見えて、楽しいんだ」

「……じゃあ、コウキは」

ウラヌスの髪が風に揺れた。

「自分の意思で、旅を始めたわけじゃなかったの？」

「うんって言うと言い方悪いけど……。元々旅に出たいって、思ってたわけじゃなかった」

「でも、今は楽しいの？」

「うん」

「……そうなんだ」

ウラヌスは目を閉じると、モンスターボールをしまった。

＿＿＿＿ああ。また、だ。

時折感じる、ウラヌスの淋しげな雰囲気。

「……近いうちに、三つの湖でギンガ団が事件を起こす」

「え」

「私は何もしない。生きているかもわからない。シンオウ地方を守りたいなら、全力で止めに来たほうがいい」

ウラヌスが俺に横を通って立ち去ろうとする。

その手を掴み、歩みを強制的に止める。
おかしい。＿＿＿この子の周りを渦巻く何かは、おかしい。