検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,531 hit

ページ8

*



サターンとAが出会ったのは、サターンが十七、Aが十一の頃だった。
年齢差自体は変わらないとはいえ、既に歳頃の年齢だったサターンにとって、Aとは限りなく幼い少女だったのだ。


そもそも、こいつは歳下の女を襲うほど飢えていないどころか、三大欲求が欠けているのだろうなとAは思う。

幹部の中でもサターンは真面目な方だと思う。
その真面目さはAも敵ながら認める。どうせならこんな組織じゃなくて、もっとちゃんとした会社で働けば良いのにと思うほどに。

しかし、彼は真面目で忠実すぎるのだ。


激務に追われては睡眠時間を削って仕事をするし、食事はカロリーメイトで済ませるし、もうひとつの三大欲求なんて(もっ)ての(ほか)だ。


Aも三大欲求に興味はない。
ただ、サターンとはわけが違う。

興味がないだけで、睡眠時間は最低でも六時間はとるし、食事もしっかりしたものを食べる。必要最低限のものをとりあえず摂る……それがAのやり方だった。



「失敗は許さない。それがアカギ様のやり方だ」



言い聞かせるようにサターンが言った。
ギンガ団に入団したばかりの頃は、ほぼAの教育係のような役割もこなしていたサターン。

当初、彼はAに同じ言葉を何度も何度も聞かせていた。
それはおそらく、Aをギンガ団の団員として守るためだ。

しかし、ここ数年でこの言葉の意味が変わってきている。

サターンにとって、既にAは守るべき存在ではない。



「証拠不十分……今回の件は不問にする。
でも、もしも本当にお前がコトブキシティでギンガ団とぶつかった子供に意図して会いに行った場合、お前は間接的に発電所でひとりの団員をクビにさせたことになる。
これが、事実となったとき」



今、サターンにとって、Aとは、



「今度こそお前にギンガ団(ここ)での立場はないと思え」



ギンガ団として、邪魔な存在なのだ。
他の誰がAに好意的だったとしても、
サターンは違う。

彼にとってAは、そういう存在だから。



____『失敗は許さない。それがアカギ様のやり方だ』



Aを守るためだったはずの言葉は、
今となっては脅し文句になっている。

お前が不祥事を働いた場合、命があると思うな___サターンはそう言っている。そういう意味で言っている。


しかしそれは、Aにとって怖い話じゃない。
彼女は運命を受け入れる。
そういう人間なのだ。

Profile→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年1月26日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。