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見ると、スマートフォンが振動していた。
スマホをとると電話が来ていた。

及川から。



「……もしもし?」



スマホを耳に当てて、椅子から立ち、ベランダの窓を開けてその場に座り込む。
十月の風はやっぱり冷たい。



『Aちゃん』

「うん」



いつもとは違う、機械越しの声。
試合に敗けたあとだろうに、声色だけはいつも通りだった。



『時間ある?』

「ある。今家に一人」

『会いたい』



たった一言。
真意は汲み取れなかった。
淡白な声だったから。



『今、家の前にいる』

「え」



立ち上がり、ベランダから外を見る。
下を見るとジャージ姿の及川が同じくスマホを持ったままこちらを見上げていた。

すぐにベランダを出て、スマホと財布だけ小さいショルダーバッグに詰め込み、急いで上着を着て家の鍵をひったくるように掴んで玄関を出た。


学校ではあまり見ない、白と水色の爽やかなバレー部のジャージ。

及川が何を考えているかよくわからない表情で家の前に立っていた。



「お疲れ様。試合結果、テレビで見たよ」

「うん」



ふう、とひとつ息を吐き出した及川。



「今日は女々川くんですか?」

「そんな感じ〜」



いつもの軽い調子で彼は言った。

女々川くんとは言ったが、
本当は、私にはショボ川くんに見える。



「ちょっと、歩こうよ」



こんなところで話し込むのもアレなので、
そう提案すると及川は素直に頷いた。

家の鍵を閉めて、及川の隣に並んで歩くと、普段は椅子にすわって話していたが故に、体格差が顕著に感じられた。

私は身長160ちょいだけど、そういや及川は180センチ超えてたなって。



「……試合のあと、牛島に会ってさ」



歩きながら、及川が胸糞悪そうに眉根を寄せて口を開いた。



「俺は道を間違えたって、白鳥沢に来るべきだったって言われて」

「ほーん」

「べつに俺は、敗けた今でも青城で良かったと思ってる。正解だったか間違いだったかなんてわからないけど、俺は自分の選択に後悔したことはないし、するつもりはないから」



まあ、及川らしいと思う。
彼だって彼なりのプライドと考えがあって、白鳥沢に行かない選択、青城に行く選択をしたのだろうし、実際 本気で、チームとして全国をめざしていたわけで。



「Aちゃんは、なんで適当に生きようって思ったの?」

「ははっ、ここで私の話かよ」

た→←生



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hwjIN___(プロフ) - 厳島神社は広島です泣 (2023年2月25日 20時) (レス) @page2 id: a610b7465a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年1月23日 22時

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