北一出身の白鳥沢マネージャー【1st season】【ハイキュー】

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見るだけ。見るだけだ。
そう。一瞬だけ開けてみよう。そしてそのままUターンしてダッシュで帰ろう。そうしよう。

体育館のドアに手をかける。深呼吸をしよう。
息を吸って、吐い……。




「あれ、何か用事？」

「フグッ」



いきなり背後から話しかけられ、吐こうとした息が喉の奥で詰まった。いちいち心臓に悪い。どうして話しかけられると、なんかこう、死にそうな気持ちになるんだろう。


ギギ、と首を後ろに向けると、人あたりの良さそうな笑顔がそこにあった。上履きの色を見ると、青。三年生だ。



「すみません、あの」

「一年？ あ、マネージャー希望？」



なんて言えばいい？
明確にマネージャーがやりたいという意思を持って来たわけじゃない。ていうか、こんな強豪にこんな中途半端な気持ちだったら失礼じゃないか。やっぱり帰ろう。五色君には明日謝るとして、急速にこの場を去ろう。



「いや、なんでも……」

「えーいたくん！ 何してんの〜？」



＿＿＿また誰か来た＿＿＿。

どうやら、先程私に話しかけてくれたこのお方は、“えいたくん”と言うらしい。



「えっ、女の子！？ ていうか葉山Aちゃんじゃん！？」



本当に知られてるよ、と心の中で及川さんを恨む。


固まっていると、嫌なタイミングだったのか、わらわらと部員が集まってきてしまった。



「え、女の子……マネージャー……？」

「ついに花が……！？」

「なんかあの子見たことあるような……」

「北一だろ？ 試合の時によく及川が自慢してくるじゃん」


高校生の背、高い。
気圧されて、何もかも自暴自棄になってきた私は、いっそ五色君にすべての責任を押し付けようと考えた。



「＿＿＿っ五色君に、連れてこられました……」



許せ。私は今この場を切り抜けることに必死なんだ。
初対面の人と話すのは苦手なんだ。慣れないと全然喋れない。



「えっ、マジ？ 工ってばいい仕事するぅ〜」



拝啓、及川徹・岩泉一様。

お元気ですか。
今、どこで何をしていらっしゃいますか。

私はやっぱり青城に行けば良かったと後悔している真っ最中です。

今となっては、岩泉さんの後頭部に及川さんの殺人サーブがクリーンヒットして、試合中にも関わらず岩泉さんが及川さんの胸ぐらを掴んでぶん投げそうになったあの事件が懐かしいです。

いえ、自分から白鳥沢を志願したにも関わらずこのようなことを言う自分が本当に烏滸がましく＿＿＿＿。

私は、白目を剥きそうです……。

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