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「お」
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ」
最初の団体競技、綱引きが終わったあと飲み物を買うため応援席から離れて歩いていると、白布さんに出くわした。
白鳥沢の体育祭は紅白で勝敗を決定するのではなく、クラス対抗で勝敗を決める。つまり一組だったら、一年一組、二年二組、三年二組の三学年合わせて一チームということだ。
白布さんと私や工くんは四組なので同じチーム。
ちなみに先程の綱引きはトーナメント制で、四組は惜しくも決勝で負けて二位の得点が入ることになった。
「北斗さん来てたぞ。あっちの方」
白布さんが校舎側の保護者席を指さした。
「……北斗だけですか?」
「あとは母親? いたけど」
口振りから察するに、やはり来ていたのは母と北斗兄さんだけだ。まあ、連絡もなかったし元より期待もしていなかったけど。
「誰か捜してんの?」
「そういうわけじゃないんですけど、もし一番上の兄が来ていたら会いたいなって思って。でも、いないんだったらそれでもいいです」
最後に会ったのは三年前。
スマホなどで連絡をしても返信はないことが殆どで、いつも年始に年賀状を送ってくることで生存報告をしてくるだけ。
いろいろ思うところがあるのはわかるけど、年に一度だけの生存確認は
「今年23歳になる、四兄妹の長男がいるんです」
「……マジで? 初耳なんだけど」
「言ってないので……」
北斗兄さんとは二歳差、私とは七歳差、七星とは十歳差。
ただ、長男と過ごした時間はあまり長くないので、心配でもあまり踏み込んだことは言えないのが現状だ。
「一番上のお兄さん忙しいの?」
「忙しいというか、昔から放浪癖? みたいなのがあったらしくて、それだけが理由ってわけでもないんですけど、三年前一人で旅に出ちゃってそれきりなんですよね」
「……“旅に出ちゃって”……?」
白布さんは、何か考えているように黙り込んだが、またすぐに元通りになって「そういえば」と口を開いた。
「葉山、お前障害物競走出るんだろ?」
「ん? はい」
「それ出るんだったら、腹くくったほうがいいぞ」
「……え?」
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昆布の神(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます。こちらこそ嬉しいです🥰 頑張りますね! (12月31日 7時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 昆布の神さん» 返信ありがとうございます🤗ちょっとした共通のことがあって嬉しいです🤭これからも楽しみに小説を読み進めていきます🫶🏻 (12月30日 23時) (レス) id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - リオンさん» コメありです。めちゃくちゃ読み込んでるというわけではないのですが、実は少し嗜んでおります……笑 (12月30日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 俺でなきゃ見逃しちゃうね。笑笑 もしかしてHUNTER×HUNTERお好きですか?😎 (12月30日 15時) (レス) @page43 id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - YUKIさん» コメありです。北一メンバー了解です(たぶん過去回想みたいな感じになるかもしれません)。楽しみにお待ちください! (12月17日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年12月5日 22時