北一出身の白鳥沢マネージャー【1st season】【ハイキュー】

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「怜央用うちわ？」



後日、その怜央用うちわとやらが気になりすぎて本人に聞いてみたところ、Aは「ああ」と思い出したように声を上げた。



「今持ってます。帰りに見せますね」

「今持ってんの！？」

「毎日持ち歩いてますよ？」



当たり前でしょ？ みたいなノリで言われても。
毎日持ち歩いているって、布教活動でもしたいのだろうか。







「これです」



ジャーンという効果音でも付きそうなノリで、Aが黒いうちわを取り出した。
そこにはアスミレオと思われる女子の顔面の切り抜きの写真が超ドアップで貼られており、ホログラムシールで『ハマりたい♡』と書かれてあった。



「なにこれ」

「怜央用うちわです。毎年これでお祝いしてます」



アスミレオの話をしているAの顔が、なぜ若利を見た時の顔と似ているのかわかった。
恐らくAには、オタク気質なところがあるのだろう。本人に自覚はないかもしれないが。



「それって他の人のも作ったりすんの？」

「……いや、怜央以外には作ったことないです。そもそも素材(写真)が無いので」

「写真があれば誰でも作れる？」

「まァ、写真があって、作ってほしいと言われれば……」



そのとき、俺の中でピンと来た。
三年生になって初めてのマネージャー。
天童もAを可愛がっているし、これはかなりいい案だと思った。



「あのさ、ちょっと頼みがあるんだけど」




＊

＿＿＿5月20日



「天童、誕生日おめでとーう！！」

「ありがとーう！！」



川西の時にも使われた、『本日の主役』と書かれた襷をぶら下げた天童が上機嫌に言った。
誰が書いたのか知らないが、冗談抜きでめちゃくちゃ字が汚い。汚いっていうか、まあ汚いんだけど、字がバカでかいからうまく枠に収まっていなくて余計にバランスの悪い字になっているのだ。



「はい誕生日プレゼント」

「相変わらずだよね、大量のチョコ。まあ嬉しいけど」



三年ズがどばどばとポッキーやらコアラのマーチやら、チョコ関連のお菓子を天童に注いでいく。



「なんだよ素直に喜べよ」

「喜んでるよ？ でもこれ隼人くんと同じすぎだよね」

「俺と一緒は嫌みたいな言い方すんなよ」



そう言うと、隼人がため息をついた。



「俺は誕生日がバレンタインと被ってるせいで、女子から貰って『えっ……』って期待しても、『バレンタインが誕生日なんでしょ？ モテ男(笑)じゃん』って言われるだけなのに……」

「気の毒に……」

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