𓂃 𓈒𓏸Prologue𓏸𓈒 𓂃 ページ1
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「影山、青城からの推薦断ったらしいね」
「え」
中学三年生。部活を引退した頃、唯一の友達である
怜央は、女子バレー部だった。
「あれ、聞いてない?」
「……引退試合から話してないし」
「あー」
怜央がどこか納得したような顔で相槌を打った。
思い出したくもない引退試合。
県大会の決勝。全国出場をかけた試合。
影山のトスを、誰もが無視した。
口下手で、ましてやたかがマネージャー。
そんな私が選手達に口を出せるはずもない。
結局、役立たずのマネージャーのまま引退した。
「そっか……青城、行かないんだ」
「うん。高校バレーの県内最強って言えば、男子は白鳥沢一択だけど、噂じゃ白鳥沢からは推薦来てないらしいよ」
さすが情報通の怜央だ。
ぽんぽんとよく出てくる。
「Aは確か青城でしょ?」
そう。青城を第一志望にしていた。
だって、みんな行くと思っていたから。
引退してからも顔を合わせば会話を交わす国見や金田一は、青城に行くと言った。
_____“男子バレー部の及川徹です。バレー部のマネージャー探してるんだけど、良かったら見に来ない?”
二年前、マネージャーに誘ってくれた及川さんや、部活でお世話になった岩泉さんも青城にいる。
もしかしたら、青城でもう一度やり直せるかもしれないと、そう思って。
「うん……でも、やっぱりやめようかな」
「え? なんで? 合格圏内でしょ?」
「なんとなく」
もう悟ってしまったのだ。
戻れない。もう、二度と戻れないと。
私達の道は分かれていて、交わる未来は無いのだと、わかってしまったから。
「……白鳥沢、受けてみようかな」
「へー白鳥沢か……。……。…………はァ!?
ウチの男バレの地雷を自ら踏みに行く気!?」
「そういうわけじゃないけど……そういうことになるか」
マネージャーを続けるつもりはないけれど。
青城でやり直しが利かないのなら、行く意味は無い。でも、バレーボールをまだ身近に感じていたい。
「……バレー、好きだから」
ただ遠く、遠目に眺めているだけなら許してもらえるだろう。
及川さんや岩泉さんにはたくさん可愛がってもらったし、国見と金田一にも示しはつかないけど。
「最後……気づいたら敗けてたのびっくりした」
優勝候補と言われたウチが、北川第一が。
こんなところで。
「もう、ああいうの見たくないし」
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昆布の神(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます。こちらこそ嬉しいです🥰 頑張りますね! (12月31日 7時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 昆布の神さん» 返信ありがとうございます🤗ちょっとした共通のことがあって嬉しいです🤭これからも楽しみに小説を読み進めていきます🫶🏻 (12月30日 23時) (レス) id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - リオンさん» コメありです。めちゃくちゃ読み込んでるというわけではないのですが、実は少し嗜んでおります……笑 (12月30日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 俺でなきゃ見逃しちゃうね。笑笑 もしかしてHUNTER×HUNTERお好きですか?😎 (12月30日 15時) (レス) @page43 id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - YUKIさん» コメありです。北一メンバー了解です(たぶん過去回想みたいな感じになるかもしれません)。楽しみにお待ちください! (12月17日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年12月5日 22時