柱辞めたら悪女潰されてたんですけど 壱

拾玖話 ページ24

私は童磨が言っていた言葉がずっと引っかかっていた。





『君のこと爽雨に会わせてあげたかったけど無理そう』




爽雨……爽雨って




誰だっけ……？





爽雨………





頭の中にこびり付いて離れないのに



存在がどうしても思い出せない。







爽雨





誰？









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お館様Side



A「爽雨という名前、聞いたことありますか？」



お館様「え？」



A「えっ？」



Aが私に聞きたいことがあると、屋敷までやってきた。
なんだろうと思えばこの話題。


爽雨というのはAの兄だ。

Aに柱への昇格を勧めた時、一度Aは





A『私はいつも死の淵にいる人を助けられない。
………兄も、あの時鬼に喰われてしまったのか

家にいなかったほどに……』





ずっと大好きで、



ずっと後悔してきた、




そんな最愛の兄をAが忘れてしまうなんて思わなかった。




最近は性格も変貌し、挙げ句の果てには大事な人まで忘れてしまう。






このままでは鬼殺隊での出来事も全て忘れてしまうのではないか───────────




そんな考えがよぎった。





お館様「……A。話を変えてしまうけど」




お館様「鬼殺隊に戻るつもりはないかい？」



Aの瞳が少し揺らいだ。




A「……いつか戻りたいとは思ってるんです。
私……本当は────────」

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