fulfill

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skm side


A『…ぅ、』


阿「あ、A」


「お！起きた起きた、おはよ〜！」


ラウ「ふっか先生に連絡してきますね」


診察室の少し強めなLEDライトの明るさに、
顔を顰めつつ、俺らをキョロキョロと見る。


A『…お笑い、』


阿「お笑い？」


A『…みてた、お笑い』


なんとな〜く思い出したのか、
お笑い見てたら心臓痛くなったんだった〜って
これまたけろっと言い出すからなんか、
俺たち滅茶苦茶心配してみんなであーだこーだ
話したけど…うん、安心したわ。



阿「もう辛くない？大丈夫？」


A『なんか、苦い？』


「ニトロ使ったからね、先生来たらあとお茶貰いな」


なるほどね、ってちょっと口角を上げたAに
何とも言えない気持ちになった。



阿「…辛くない？」


A『なにがぁ？』


阿「…色々と」


A『へ？阿部ちゃん、そういう阿部ちゃんこそ疲れてるんじゃない？』


普段そんなこと聞かないのに〜って今度はしっかり笑うから、
ほらね、また俺らは取り零すんだよ。


核心に触れそうな時、

その核心を引っ込めて隠すのがとても得意な子。



A『…っていう雰囲気でもないから、なんか、悪くなってたのかぁ』


阿「いや、その…」


A『隠し事したらふっか先生来ないよ！ってよく注意したの阿部ちゃんなのにねぇ？』


阿「…言ったね。そんなこと」


A『なんかさぁ？みんな…』


俺らから目を離して、何にもない天井を見つめるA。


A『優しいけど、私はそうは思ってないんだよね〜…うん、なんか、発作起きちゃったけど大丈夫！だってみんないるもん！って…思うし…起きた時はほらココアパン食べ損ねるよ？って言ってもらいたいくらいなんだけどなぁ』



表情も、


口調も、


何も変わらないまま。



Aの目からぽろっと涙が零れ落ちた。




「ごめんね、」


A『そうじゃないのー、』


もー、さっくん何にも分かってなーいって
言いながら寝返りを打って俺らに背を向ける。


A『こっちだって、心配かけてごめんねって思ってるもん…』



気持ちって難しい。

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