fulfill

入道雲 ページ19

(長い夜が明ける方法の続きです)
ab side

あれから3日後。


A『これは〜…阿部ちゃん！』


「えぇ！くれるの？ありがとう！」


手渡されたのは世界一有名なネズミのキャラクターが
描かれているクリアファイルとバインダー。

全体的に控えめなデザインなのに、ちょこっと存在するそいつが可愛い。

というか、流石A。


A『これは〜こーじ！』


向「うわ！やば！これええの？」


A『もっちろ〜ん！』


1日経過観察をして、2日目にふっか先生と
2人きりで楽しい楽しい夢の国へお出かけしたそうで。

俺達で、「この2日間で治療拒否とか考えてたらどうしよう…」なんて考えてた心配は無用だったらしい。
ご機嫌で入院のための荷物と、俺らに沢山のお土産を持って…もう完全に旅行客スタイルで登場。


「康二何貰ったの？」


向「見てこれ！ボトル！」


「あ、欲しいって言ってたよね？」


向「せやねん！確か、前Aが検査の日にそんな話したの覚えててくれてんで？凄ない？」


「本当に凄いよね、そういうところ」


康二にピッタリな、ネズミの友人の犬の…もう
ぼやかすの面倒臭いね、グーフ〇ーが描かれているオレンジ色のボトル。いいなぁ。


A『さっくんこれ(笑)』


佐「っえ！これ？(笑)やったぁ！」


A『嘘だよ、こっち！』


佐「いやこれでも嬉しいけど！まじ嬉しいわ、ありがとう」


佐久間の手元を見れば、

「佐久間っぽいね」


A『でしょ！見た時ね、これさっくんだ！って思ったの』


期間限定なのかよく分からないけど、桜をモチーフにしたコップが手渡されていた。


佐「まぁほんと、こっちでも全然嬉しいよ？(笑)」


こっち、と指さすのはきっと夢の国でAが付けていたであろうミ〇ーマウスのカチューシャ。


A『さっくんにだけそんな意地悪しないし〜』


確かに、カチューシャ手渡されたらちょっとボケなのか本気なのか悩みそう。佐久間なら、余計に。


A『先生達は〜？』


「今ミーティングだよ、」


A『ん〜…』


向「てか、病室居らな怒られるんちゃう？(笑)」


「確かに〜さっき、着替えて待っててねって言われましたよね？」


A『あ〜そうですかそうですか〜、お土産渡したのにそーやって追い返すんですかぁー』


佐「もぉ〜ほらこれ付けて行くよ！(笑)」


ブーブー言い出したAにカチューシャを付けて、
背中を押しながら歩く佐久間を見送った。

・→←宵闇とLED

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す