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「…………」
「勝己」
Aはポーカーフェースだけどどこか困った表情で俺を見つめる。
固まっちまったけど、ハッと我に帰り、昼間寝室に投げ入れた新品の下着とハサミ、それから俺のシャツを投げた。
「ありがとう。」
それを持って洗面所に戻ったA。
俺は未だ治らない動悸を抑えるため、その場にしゃがみ込んだ。
.
.
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「…ドライヤー貸して」
暫くして出てきたAは俺の方に向かって歩いてくるとそう言ってこっちを見る。
俺は洗面所まで戻ると、
2番目の引き出しを開けてドライヤーを取り出した。
「座れ」
「勝己がやってくれるの？」
ソファに腰をかけさせ電源を入れると、細くて柔らかい髪に触れ、乾かし始める。
.
.
「終わったぞ」
俺が声をかけると気持ちよさそうに眠るA。
このまま寝かせてやってもよかったが風邪を引かれたらこっちも困る。
肩を揺らして起こしてやるとゆっくり目を開けてこっちを見る。
「眠い」
「寝るか？」
「うん」
俺はAの腕を引いて立ち上がらせると、寝室まで腕を引いて歩いた。
酒臭いAは俺のベッドに倒れ込むとニコッと笑って腕を広げた。こいつ今になって酔いが回ってきてやがる。
「かーつき」
俺の名前を連呼するそいつを横目に、寝室の引き出しから数年前アホ面に貰ったはずのアロマキャンドルを探した。
海外の仕事の帰りに見つけたらしいそれは、
_女ウケ良さそうな匂い選んどいたから、ガチの時に使えよ。
なんてメモが箱の中に入っていた。
この家に住んでから昔の知り合い以外女連れ込んだこと無えから
使うタイミングすらなかったそれを俺は取り出し、日をつけた。
ゆらゆらと炎の揺れるそれはどこか幻想的で、
いつか嗅いだような懐かしい匂いがした。
.
.
俺もAの横に寝転がると、腕を広げてたAは俺の首に腕を回した。
「離せ」
「やだ！」
「今日はしないって決めてんだ」
「んー？」
変なのって笑ったコイツは嬉しそうでどこか悲しそうな瞳で俺を見た。
俺は頬に手を添えると枕元のリモコンで電気を消す。
「おやすみ、かっちゃん」
「ああ」
.
.
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作者名：ほわいてぃべてぃ。(明織) | 作成日時：2017年4月30日 21時
