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「黒霧…ありがとう。」
朝起きて、彼女は気がついたのか、
私のところにやってくると頭を下げた。
「とても似合っていますね。」
「昨日のやつも、かわいかった。」
そう、先日買い物に行ったついでに彼女の服も
揃えておいた。
彼女、雪織A、いや。
ここではネージュ、と名乗る彼女のクローゼットにその服をしまっておいたが、今朝彼女はそれを身に纏い、ポーカーフェースながらも嬉しそうに笑ってくれた。
今着ているのは黒の胸元が大きく開いたV字のノースリーブワンピース、後ろは編上げ仕様になっているからか、上の部分のリボン結びがうまくできていなかった。
「後ろ、結びましょうか。」
「…ありがとう。」
無口なうえに、その整った容姿。
初めて見たときは人形かと疑ったくらい。
それは死柄木弔も同じだったらしい。
今でこそ会話できるようになったものの、
彼女が雄英を卒業して敵連合本部にやってきてからしばらくは会話すらままならなかった。
「そう言えば、今日時間があるなら新しい下着でも買いに行ってはどうです？
さすがにそればかりは私が用意することはできないので。」
彼女にそう伝えると、不思議そうに首を傾げた。
「外に出ていいの？」
「ええ、死柄木弔はきっとダメだと言うと思いますが、私も彼も今日は遠くまである仕事を熟しに行きます。」
「そう…優しいね、黒霧。」
.
私は彼女に何枚かお札を渡すと私や死柄木弔が家を出てから外に出なさいと伝えた。
ここ数年襲撃以外1人で外に出したことがなかったから、Aは少しばかり嬉しそうだった。
私がなぜ許したかって？
今までは彼女は誰にもこのことを知られていなかったから迂闊に外に出せなかったのがつい最近知られてしまったから。
それに、私と死柄木弔は3週間はここには帰ってこない。
だけどもしものことがあるから彼女には2週間かかるかわからないとだけ伝えた。
「そっか、じゃあご飯も1人」
「ええ、すいません。
連れて行けたらよかったのですが。」
「気にしないで。」
暫くして起きてきた死柄木弔を連れ家を出ると、
彼は彼女に手を振った。
.
「今日の服はお前が選んだの？」
「まあ。」
「かわいかった。」
.
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作者名：ほわいてぃべてぃ。(明織) | 作成日時：2017年4月30日 21時
