Love Story / 盛山晋太郎 ページ4
自らの携帯と向き合う。
画面には１つの電話番号と、" 盛山晋太郎 "の文字。
意を決して、通話ボタンを押すと長いコールの後に彼の声がした。
『もしもし？』
「あっ、もしもし？ごめん、急に！」
『ええよ別に、どうしてん？』
いつもと変わらないその優しい声に喉が詰まる程の息苦しい感覚を覚える。
「今ちょっとだけ時間ある？話したい」
『ん、なにぃ？』
気の抜けた声に絆されそうになりながらも、ぐっと堪えて私は口を開いた。
「あのね、あの…私と、別れて欲しい」
沈黙が痛い。
何か、何か言って欲しい。
泣きたくなる思いを殺して返答を待つ。
『…、ん……どうして』
ようやく聞けたのはぎこちない咳払いと掠れた声。
「…やりたい事ができたの」
『芸人じゃなくて、？』
「…じゃなくて。」
『そうなんや』
深く聞き出すことはせず、再び沈黙が訪れる。
「…ずっと考えてて……海外に行きたいって」
私は少しずつ、胸の内を明かした。
新しい事に挑戦したい事、それを言えなかった事、
今日の日に至るまでの葛藤………
そして、彼への想い。
全て聞くと彼は一言、「ごめん」と謝った。
「なんで、？」
『俺が、Aの事をがんじがらめにしてた。…俺は、勝手にこの関係がずっと続くんやと思ってて、このまま結婚すると思ってて………それが、Aの事を縛りつけてたんやとしたら……ほんまに、ごめん』
涙まじりにそう告げられた。
「なんで…なんで、謝らないでよ。わ、私だって…嫌いになんてなれないし、私からこんな風に別れようなんて言う勇気なかった…。から、…嫌われようとした時もあった……私だけが傷つく方が、気持ちが楽だから………」
すごく悩んだ。
私だけの都合で相手に別れを告げる事がどれだけ心苦しいか、相手を傷つける事がどれだけ私を苦しめるか…
それ程までに彼の存在が大きく、膨れ上がっていた。
『……ごめん、………』
電話口で鼻を啜る音が聞こえる。
見た目に反して涙脆い彼の姿が目に浮かぶ。
『、でも…俺は、、応援したいし………Aの、やりたい事を……やりたいように、頑張ってほしい』
「、うん……ありがとう」
『…だから……せめて、忘れられるまでは……好きでおってええ…？』
誰を見つめても 誰と過ごしても
忘れられる日など 来るはずない
この胸の中で 愛し続けるけど
一緒にはいられないもう
Cause life's no love story
Love Story / 安室奈美恵
rooftop / リリー→←Kiss You Back / 盛山晋太郎
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みか - はじめまして。寿司太郎さんの小説がとっても好きです。私もリクエストさせて下さい。二宮和也さんの「GimmickGame」を盛山さんで見たいです。よろしくお願いいたします (2020年12月22日 0時) (
レス) id: 537ffb3acd (このIDを非表示/違反報告)
ひなちゃ、(プロフ) - 素敵なお話いつもありがとうございます！(;_;)リクエストはまだ受け付けておりますでしょうか？まだ大丈夫でしたら、aikoさんの「君の隣」をリリーさんで見てみたいです。これからも更新楽しみにしています！ (2020年8月27日 23時) (レス) id: 4c986a5ef9 (このIDを非表示/違反報告)
類 - リクエストに応えて下さってありがとうございました！ただ単に好きな曲をリクしてしまったので書き辛かったのでは、と申し訳なく思っていたのですが、作品を読んだ時凄く凄く良くて寿司太郎さんの作品の虜に改めてなりました。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2020年7月8日 0時) (レス) id: 8acde5b950 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - リクエスト叶えてくださってありがとうございます！！とても良かったです！これからも楽しみにしております。 (2020年7月7日 22時) (レス) id: 045a13f972 (このIDを非表示/違反報告)
類 - 前作から読ませて頂いております。また寿司太郎さんの作品を読めるのがとても嬉しくて嬉しくて...！日々の愉しみになります。ありがとうございます。リクエストですが、盛山さんでサカナクションの表参道26時をお願いしたいです。 (2020年7月3日 23時) (レス) id: 8acde5b950 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司太郎 | 作成日時：2020年6月16日 23時
