ブリュレ (ページ9)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:27,032 hit

#９社会人と恋人ページ9

盛山さんがまぁ大きい声で何かに反応した。

「なんやそれってなんですか？」

楽屋で何かあったのかと思い視線をそちらにやると、軽く叩かれた。

「ちゃうちゃう、お前や！なんやお前彼氏はええけど、キスマークなんかつけてくんなよ！」

色気づきおって、とツッコまれるとさすが歩くスピーカー。他の芸人がなんだなんだと反応した。

正直、恥ずかしいとかは無かったけど他の芸人仲間をうまく交わすのが面倒だった。

「盛山さん！そう言うのはこっそり言ってくれはったらええんですって～」

「そんなんしょうがないやん、ええから早う消せよ」

しっしっと手で払うそぶりを見せながら盛山さんはどこかへ行ってしまった。

ため息を零しながら、相方の元へ行くと何も言わずにファンデーションを差し出してくれた。さすが。

「めんどくせ～つけっぱじゃあかんのかい」

ぼやきながら鏡を見てファンデーションを当てていると、相方の樋口からもため息が聞こえてきた。

「あかんわ。説明がめんどいし、品性疑われんねんな(笑)我慢してや」

舌打ちしたくなるのを抑えて、最後はすこし乱暴に粉を払い落とすとおおよそ消えて無くなった。

「樋口、ファンデありがとう」

「ん。ええけど、結局それはどないしてん、喧嘩？」

「まあそんな感じかな～」

あまり聞かれても面倒臭いだけなので、軽く受け流すと樋口はそれ以上聞いてこなかった。

本番終わり、狙ったように着信が入る。

そこで出る事なく、足早に廊下へ出て電話を取る。

「もしもし？ヒロさん？

『あ～A？今日はどない？』

「今日ちょっと遅くなりそやねん、ごめん会われへんかも」

あれ以来、電話の頻度が増えて事細かに聞かれるようになった。

私は自分から連絡を全くしないので、少し面倒だと感じることもあったがきっちり毎回電話には出ていた。

『そうか。明日は仕事？』

「うん」

『分かった。ほな気をつけて帰りや』

「うん、ありがとうね」

電話を済ませ、楽屋へ戻るところへまたタイミングを見計らったように声を掛けられた。

「A」