本人の知らぬ間に ページ29
しばらく2人で他愛もない話をしてると宗悟の手の中でポコンっとスマホが鳴った
「うえこナイトと一緒に家出るって」
「はーい」
「愛されてんね〜。その指輪、お揃いでしょ」
指さされた右手薬指の指輪。バレンタインの時プレゼントしたペアリング
「気付いてたんだ」
「春先くらいからかな…うえこ時々左手で指輪撫でてたから。あのイベントの時もずっと右手触ってたらしいし」
そういえば…確かそんな事を白井さんに聞いた気がする。ずっと左手で右手を触ってたって。花江さんもペンダント触ってるの見たって言ってた。プレゼントした時からずっと付けてくれてる、土星のペンダントとペアリングと黄道十二星座の腕時計。あの日離れてた俺が、あのステージ上で不安に押し潰されそうだった彼女を支えられたのかな…
「まぁ…うん。お揃い」
「分かり易く照れんなww」
「悪かったな、表情筋が素直なんだよっw」
「本当素直wwうえこはそこも大好きらしいよww」
スタジオ出る時に買った缶コーヒーを飲んでるタイミングで聞こえた宗悟の声に思わず噎せる
「っ!?ごっほ…はっ!?」
「上ドラの時やまやんと聞きまくったwwwうえこガチ照れしすぎてカットになったけどww」
「えー見たかった…」
「円盤化するらしいし未公開シーンであると思うよ。俺らのとこカットされたの俺とやまやんが根掘り葉掘り野上の事聞きまくってガチ照れさせたとこばっかだしww」
「どんだけ聞いたんだよwww」
「えー…ガチで根掘り葉掘りww」
楽しそうに笑った宗悟はスマホをスル〜っとスライドさせてからこちらに向けた
「後で野上に見せようと思って色々撮ってたんだよ」
写ってたAちゃんは、青紫色染まる夕日を背に愛おしそうに指輪見てめていて、左手はそっと腕時計を撫でていた。何その表情。なんでそんな顔してんの…Aちゃん俺のことすげぇ好きじゃん。知ってたけど。あぁ、すぐ逢いたい
「あとこれとか」
そこに映し出されたのは真剣に何かを作ってるAちゃん。あの回は確か陶芸でマグカップ作ってたはず。今も家で使ってるやつ。でも、どうやらそれを作ってる写真じゃないらしい
「オンエアされてたマグカップじゃないよね…」
「あ、やっぱあの回も見てたんだ。マグカップじゃなくて夫婦茶碗。サンプルにあって、やまやんが「将来野上さんと使ったらいいじゃん」って言ったらアイツ自腹で作ってたww」
「え、マジ?知らない…」
2人と上ドラ行ったのは同棲し始めた少し後。でも夫婦茶碗なんて出てきた事ない
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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時