アルバムの中に ページ11
煙草吸ってくると部屋を出てったAちゃんに渡された卒アルを捲る。見慣れてる凛とした彼女とは違い、クラスメイト達に囲まれ翔さんと並んで映る姿は当たり前だけど今より幼い。やっぱり一緒にいると落ち着くのか、個人写真以外は全部一緒に映っていた。ページを捲ると翔さんが右サイド、Aちゃんが左サイドをブリーチしてジャージでハチマキをネクタイのように巻いた写真に思わず2度見した
「うわ、Aちゃんがブリーチしてる…」
「あー…なんか2人で染めてた事あったな」
「左右に分けてたね」
「なんか、その頃の同じ顔でジャージ着てると紛らわしいって言われて、ムカついて染めたってww」
「やんちゃかよw」
「今でこそ丸いけど…割とやんちゃだったぞ、あの2人ww」
「想像出来ないww」
「…あ、ほら」
拓ちゃんが見てた中学の卒アルを覗くと、当時流行ってた学園モノ昼ドラのヒロインのような髪型に所々赤いメッシュが入り、第2ボタンまで開け裾を出したワイシャツ、見えそうなくらい短くいスカートとルーズソックスに踵潰したローファーで棒付きキャンディーを持って、後ろを向いてる学ラン男子の肩に手を付いて隣に立っている女の子を指さしていた
「え!?コレ、Aちゃん!?」
「Aの反抗期。翔以外とはまともに会話してなかったんじゃないかな。その頃親戚の集まりにも全然顔出さなかったし」
「想像出来ない…」
高校の卒アルをパラパラとページを捲っているとAちゃんの書く文字に良く似た字が見え、数文字読み始めてパッと指を挟んで閉じる。ダメだ…コレは俺が読んじゃダメなやつ。翔さんがAちゃん宛に書いたものだ
元々大きな子供部屋だったのを間仕切り2部屋にした翔さんとAちゃんの部屋は、兄離れをしたかった当時の彼女にとっては依存の象徴で実家を出てから、帰省しても自分の部屋には1回も入らなかったって言っていたし、出だしの言葉的にAちゃんがこの家を出た後に書かれた物で、恐らく彼女はコレを読んでいない…読ませなきゃ
「拓ちゃん、この家で煙草吸うとしたらどこ!?」
「え…叔父さんがよく吸ってたのはこの上の階にある屋根裏部屋か、そのベランダかな」
「どうしたの、野上君」
「翔さんからのメッセージ見つけた。多分Aちゃん読んでいない」
持ってた卒アルの表紙を見せると拓ちゃんは何か察したらしい
「扉出て右に真っ直ぐ行って左1つ目の部屋入ると階段がある」
「ありがと」
拓ちゃんに言われた通りに扉を出て右に進んだ
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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時