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全てを水に流す ページ17

後日犯人だったスタッフが捕まり、事務所から正式に今回の事件が発表され、あたしの意思で仕事を休まず続けたけど精神的に休養するよう言われて3か月殆どの仕事を休んだ。唯一“うえのがみ”だけは映像じゃないし『自分の名前が入ってるのに代役を立てるのは違う』とわがままを言って絶対無理しないと言う条件のもとで続けた
盗まれたものは全部返されたけど…楽器は念の為メンテナンスに出して、下着類は気持ち悪いから処分。家も何となく気持ち悪くて引越することになった


『お疲れ様でした』
スタッフさん達に挨拶をしてスタジオを出るとすぐにのがエルが隣に並んだ。このラジオのあと、のがエルと並んで帰るのが習慣になった
「お疲れ様。明日の引越し、拓ちゃんと濱野と手伝いに行くから」
『え、のがエル腰痛いでしょ?』
「重いのは濱野に持たせるから」
『酷いw』
「もう準備終わってんの?」
『うん。さっき終わらせてきた。だから今日午後曇り予定だし久しぶりにナイト連れて洗車しに行こうかなって』
「手伝おうか?」
『ワゴン車じゃないから手伝う事ないと思うけど…』
「じゃぁナイトと遊んでる」
『別にいいけどwでも時間かかるよ?』
「いいよ」
なんて言うから、助手席にのがエルと後部座席にナイトを連れて…いつも行く洗車場へ



洗車機は使わないから高圧洗浄機の所に停めてトランクから道具を出して並べる
高圧洗浄機は泡を流す時だけ使いたいから…まずは1番近い水道でバケツに水を汲んで3回くらい車体に掛けてから、バケツにカーシャンプーを垂らし水を入れスポンジを浸して、タイヤに脚をかけて天井から擦る
少し離れたベンチでナイトと遊んでるのがエルが時々手を止めてこっちを見てる
窓やドアを擦ったあとバンパー周りと足周りの汚れをしっかり落としているとさっきまで雲に隠れてた太陽が顔を出し始めた
『うわ、ヤバ…』
「なに?」
『太陽出てきた』
「出ちゃダメなの?」
『焼き付くからダメ』
急いで洗って、高圧洗浄機で一気に泡を流す
『気持ち〜』
泡とともに、あの事件から自分の中でグルグルしてた思いも流れる…本当はずっと悩んでた。あの日から一緒に居てくれたりLINEが増えて…あの日一緒に帰宅しちゃった事で責任を感じさせてるんじゃないかって。休養に入る時辞めようかと思った…辞めるなら…声優として最後の仕事はのがエルの笑顔を見て終わりにしたくて、ラジオだけ続けた
でもあの広くないブースで2人で喋って…辞めたくないって好きだって実感した

決意→←先輩と



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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年6月8日 7時

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