野上さんは天使ですか？2 (ページ11)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:13,357 hit

聞けるわないページ11

帰り道。拓ちゃんが来るまで、Aちゃんを1人にする訳にいかないから服選んだ時の約束思い出し、ご飯作ってってお願いしてお家に連れて行ってもらう

後ろでナイトが気持ちよさそうに寝ていて
シフトレバーに掛けらたAちゃんの手が目に入る。あの日病室で土岐さんが起きるまでずっと握っていた…俺のそれより小さくか細い手
あの微睡みの中、交わしたドッグランの約束が夢じゃなかったって事は…つまり、あの微睡みの出来事も夢じゃないわけで

ねぇAちゃん

なんで離さないで居てくれたの…
なんで隠してたのに泣いたのわかったの…
なんでずっと頭撫でてくれてたの…

聞きたいことがいっぱいあり過ぎて
頭の中でグルグルする

もし、今俺がその手を取ったら

Aちゃんはどうする？

もし好きって言ったら…

君はどうする？

なんて言えるわけがない
言ってしまったら今のこの心地いい関係が壊れる
ラジオだって始まったばっかなのに…Aちゃんとと一緒に居られるあの心地いい空間がギクシャクしたものになるのは絶対嫌だ

そう思ったら言えるわけなくて

言いたかった気持ちをグッと飲み込み誤魔化す

ラジオでリスナーさんの背中を押してたけど…いざ自分がこの立場になった途端あと1歩がなかなか踏み出せなくて

ふんわり甘酸っぱい香りがした
そういえば、初恋は甘酸っぱいって何かで読んだなぁ

『そういえば…』
「ん？」
『あたし初恋ってなかったな…』
「なに急に」
『収録中のがエルに貰ったパインアメ舐めて思い出したんだよ』
「なんで？w」
『あれ？初恋は甘酸っぱいって言わない？』
一瞬心の中読まれたかと思った
「言うけどwwパインの甘酸っぱさで思い出したの？」
『そう。あたし高校卒業くらいまで翔ちゃんといつも一緒だったから…大学で初めて離れて、従弟は叔父さん達と海外住みだったけど、大学生活中1番近くにいた男の子はとっきーだったし。翔ちゃんと一緒に遊ぶ男友達か、大学時代の男友達か…この業界入ってからの同業者くらい』
「意外…でもないのか」
『そう？』
「だってAちゃんお兄さん大好きなのはわかるし…お会いしたことないけど、話聞く限り多分お兄さんもAちゃん大好きだったはずだし…」
『うん…』
「やっぱ兄妹と双子って空気感が違う訳で…そこに入っていく勇気のある男は早々いなかったと思うよ。俺の場合妹と仲良くなかったから、根本的に違うけど」
多分俺なら2人の空気感に尻込みする