野上さんは天使ですか？13 (ページ31)

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違和感ページ31

左手に持ったリードをグイグイとカストルとポルックスに引っ張られ右手を翔君と繋いだまましばらく歩いた頃、左脚に違和感。僅かだけど少しずつ強くなるそれに舌打ちをしたくなった。今朝のやつだ…
さっき休憩したばっかで今はカメラが回ってる。いくらいつもの上ドラと違うとは言えど、スタッフさんに迷惑かける訳には行かない。幸い痛みを隠すのは得意だ。スタッフの誰にも野田ちゃんにも…悟らせないようにしなきゃだけど、翔君には約束したから伝えないと。まだマイクしてるし…どうしよう
この後どうするか思考を巡らせながらズキズキと主張する痛みを無視して紫陽花の中を歩く。後ちょっとで車に乗れる。そしたらしばらく運転だから左足を動かすことは殆ど無い…
少しだけ足場の悪い湿地帯。普段なら気にならないのに、痛む左足のせいでいつも以上に歩きにくく少しペースが落ちる
「湿気で少し滑りやすいね…平気？」
『ヤバい、あたしがコケたら翔君もコケるねwww』
「やめてw」
視線を外した瞬間、落ちてた枝を踏んづけて折れたのかパキっと音が響いた。その小さな衝撃でもズキッっと痛みが強くなり息を飲む
『っ!!…びっくりしたぁw』
「…めちゃめちゃビクッってしたじゃん」
『ホントにコケるかと思ったwww』
あははっと笑い飛ばすと、一瞬翔君が眉間に皺を寄せ繋いだままの手がギュッと強く握られた。多分あたしの足が痛くなってきた事に気が付いてる。言わなくてごめん…でも撮影に影響出したくないの…
「…ナイト、Aちゃんが転ばないように介助してあげてw」
1度手が離され左手に持ってたカストルとナイトのリードがスっとナイトのリードに交換された
『あ、りがと…』
「そこに石あるから気を付けて」
『はい』
遅くなったあたしのペースを合わせてゆっくり歩いてくれて、さっきより足元に注意してくれる…ホント優しい旦那さん。頼ってばかりじゃダメなんだけど
足元を注視して歩いていると急に翔君が立ち止まった
『翔君？』
「…雨」
『え!?』
びっくりして顔をあげるとさっきまでいいお天気だったのに、どこから来たのか曇天が広がっていた
『…っん!?』
見上げた曇天から鼻先に冷たい感触。手を伸ばし触れると微かに指先が濡れた
『ホントだ…とりあえず降りが強くなる前にどこか雨宿り出来るとこに避難しましょう』
スタッフさん達にも声を掛けて園内地図で翔君のマネージャーさんが見つけてくれた東屋へ避難することになった。あまり酷くならないといいけど…