第217話：幸せの修復 ページ18
あ゛〜とダミ声を口から零しながら、椅子の背もたれに凭れる。勿論、両手を顔に添え、天を仰ぎながら。
そんな私を他所に、目の前の男2人は既に運ばれてきた定食に手を掛けていた。
何たる非情。悩む乙女より飯の方が大事ってか。
ふざけんな。(キレ気味)
「何を嘆いてんだか知らねえが飯が冷めるぞ」
『だって宇髄さん…私またやらかしたよ。挑発されたとは言え懲りずに私はまたもや柱に失礼を働いちゃったよ！！！』
「うむ、そうだな！君は中々に肝が座っているようだ！！」
『嘘でもいいから否定して欲しかった…』
「そうか！では嘘だ！！」
『清々しい程に手遅れ』
現在どこかの定食屋。
目の前に座り定食の白米をもしゃもしゃと食べているのは、宇髄さんと煉獄さんである。
…何故私はこの2人と定食屋を訪れているのか。
それは溯る事数十分前。蝶屋敷に帰ろうとしていた私に「どうせまた迷うだろうから送る」と宇髄さんが声を掛けてくれたのが事の始まりだ。
そこから何故か煉獄さんも加わって…この異様なメンバーに至った訳である。
というかそもそも彼等は端から寄り道する気満々だったのではないか。
だって明らかに蝶屋敷とは反対方向に進んでいた(気がする)し、真っ直ぐこの定食屋に入って行ったし。
…ダメだ考えるのはやめよう。
目の前で美味しそうな香りを放つ定食を前に、お腹の虫がぐ〜と鳴った。
「そういやお前2ヶ月振りの飯か。気にせずたんと食えよ、この祭りの神が派手に奢ってやる」
『マジですか！じゃあ鯖の味噌煮定食も追加で！』
「では俺も同じものを！」
「お前は食い過ぎだけどな」
よもや！と大きな声で叫ぶ彼に(若干迷惑になってる)、そして、それを呆れた様な目で見つめる彼に。
…思わず頬が緩んでしまう。
目の前で笑い合う彼等がそこに在るだけで、こんなにも、泣きそうな程に幸せを感じるのだ。
きっとこれは、脆く儚い硝子玉の様な幸せなのかもしれない。けれども、私には十分過ぎる現実で。
…今度は、しっかり守るんだ。
この幸せが割れてしまわないように。
あんなつらい思い、もう二度としたくない。
「何だ夏目、お前箸止まってんじゃねえか。要らねえっつーならその肉貰うぜ！」
『は？いや誰もあげるなんて言ってねえし！？って、あ゛ー！私の肉ｯ！！』
「わははは！！！」
宇髄さんにかっ攫われていった肉が前を横切り我に返るも、既に遅し。私の肉は彼の口へと運ばれていった。
グッバイ私の肉…仇は今すぐとるからね…！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまいろ(プロフ) - ソーダ錫さん» あれ、分かっちゃいました！？すげえ！そうです細かい所何個か修正したんですよ！！そんなに！！読み込んでくれてるんですか！！うおん！！！感謝カンゲキ雨嵐！！！あざます！！！これは嬉し過ぎる (2021年3月6日 23時) (
レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ錫(プロフ) - これ何個か細かいところ修正しましたね・・・？この作品ガチ勢の私にはわかりますよ、えぇ。超すこ。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 10b66fbb96 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - 蓮さん» 土下座ボーイ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (2020年1月14日 23時) (レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 土下座ボーイ！！！！ (2020年1月14日 1時) (レス) id: 0d8aed718b (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - セブンス・エイカンさん» コメントありがとうございますーー！！！獪岳またの名を土下座ボーイが登場しましたね！！！！！面白いと言って貰えてめちゃんこ嬉しいです！！！私も好きです愛してますこれからもよろしくね。 (2020年1月13日 13時) (レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまいろ
| 作成日時：2019年11月4日 7時
