ふかさく妄想 ３

心地良さは人を(深澤) ページ22

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なんか、お腹空いたね。そう呟いてから

30分たっただろうか。

『うん。』と返事をした辰哉くんだったが

先ほどとなーんにも変わらず

ソファーにふたり並んで座り

テレビを観ている。

そのテレビも面白いから観ているわけではない。

なんとなくついているだけ。


『なんかお腹空いた。』
「それさっき言った。」

もたれ掛かるように

辰哉くんの頭が私の肩にぶつかりながら

30分前と同じ話をしていても

どちらも動こうとはしなかった。

なぜかって？

なんとなくこの時間や空気さえも

心地良いから。


『ピザ頼む？それとも食べに行く？』
「うーん。」

このままだとお昼も食べずに

夜ご飯になってしまう…

ようやく、いや、仕方なく動こうと

ソファーから立ち上がろうとすれば

辰哉くんの腕が私の前に出され、

動きを阻止された。

" ん ？ " って疑問の表情をすれば


『たまにはゆっくりしませんか？』

という誘い。

たまにはどころかいつもだけど…

なんて言葉がよぎるけど、

良いですよ。と意味を込めて

白い肌の首もとに腕を伸ばして抱きつく。

さっきよりも辰哉くんの匂いを近くに感じて

空腹よりも幸福感広がっていく。



ここから動きたくないから

ピザを頼みましょうか。



心地良さは人をダメにする？幸せにする？

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