fondness child【紫】 (ページ7)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:12,519 hit

6 ページ7

まだ明かりの着いていないオシャレなダイニングバーJewelryFishの看板と入口をキョロキョロと探せば少しひっそりと地下へ続く薄暗い階段を見つけた。

オシャレなダイニングバーは入口からしてオシャレだ。

いまはライトアップされていないがライトアップされたら薄暗い空間はすぐにオシャレでムーディな空間に早変わりするのだろう。

少し緊張で固くなりながらゆるりゆるりと階段を降りCLOSEの札のかかる扉をおす。

少し優しいオルゴールのおとが扉を開くと流れてきたが入口には誰もおらずどうしようと少しオロオロしてしまう。

仕方ないじゃん狼狽えるよこんなオシャレ空間なんか来ることないもん！

と脳内で誰に向かってか言い訳をしていると奥から少し明るめな茶髪をノーセットのままにした少しやる気のなさそうな顔の男性がひょっこり顔を出す。

｢あれ、今日面接の子？｣

気だるげな表情の割に声は少し甘い。

『はい、今日面接に来ました中村Aです。』

特別イケメン、って訳でもない気だるげな目の前のお兄さんに少しドキリとときめいたが緊張していたおかげでスルスルと自己紹介がでてくる。

良かった変に動揺しなくて！とヒヤヒヤしていればん、Aちゃんねとりあえずこっちおいで？とあたまをポン、と軽く撫でられる。

うっわ！何この人ずるい！絶対チャラい！

初対面でこの距離の近さにやはりドキドキとときめくがこれは私がちょろいからでは無いはず。

｢あべちゃーん、さっき言ってた面接の子きたよ～｣

やる気なさげな声でゆるーっとわたしを中に案内しながら奥へと声をかける。

わ、今いく～！と奥からいそいそとネクタイこそしていないがかっちりとしたスーツを着こなした女子アナバリにきゅるきゅるフェイスの男性がこちらへ向かってくる。

どうしようさっきのやる気なさそうな人も顔ちょっと大きいけどかっこいいしこの人も顔が綺麗だしこの店は顔が良くないと入れないとかあるかもしれない、なんてくだらないことを考えているときゅるきゅるフェイスのイケメンが目の前でにこりと微笑んでいた。

｢初めまして、JewelryFishの店長をしています。阿部亮平です。」

こんなイケメンが店長なんて世もびっくりだ。

絶対何がなんでも受からなきゃ、とスイッチが入る。