fondness child【紫】 (ページ3)

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あの後何も言わずにダッシュで家に帰り嶺亜の部屋をノックもせずに勢いよく開ける。

あ、まずい女の子いたらどうしよう！と開けてから気づいて少し焦ったがなに～姉ちゃんうるさいんだけど、といってごろりとベットに寝そべっていたからだを起こす。

『ねえ嶺亜！また私の彼氏に色仕掛けしたでしょ、』

男が男に色仕掛けってのも変な話だがこれはいつものことである。

え、あの男もう落ちたの？ちょろ過ぎない？

ときゅるんきゅるんな目をさらに丸くした後にくすくすと笑う。

まだ対してなんもしてないんだけどなぁなんて言いながら夏なのに薄いカーディガンを羽織って萌え袖にしている袖の当たりを口元に持ってくる。

くそう、いつみても嶺亜は贔屓目なしに可愛い。

ぶりっ子女子もびっくりなほどぶりっ子が似合う。

男、なんだけどね？

れ｢そもそもちょーっと俺がニコニコ笑いかけて世間話したくらいで彼女ほっぽってくような男振られて正解だよ。｣

とニコニコ可愛らしく笑う顔からは想像できないような毒をはき出す。

だからって毎度毎度彼氏ができる度に色仕掛けを仕掛けてきた嶺亜に負けるわたしの気持ちも是非とも考えて欲しい、切実に。

負けるわたしが悪いのかもしれない。

だがもう女としてのプライドはズタボロである。

でもこれで姉ちゃん出かける相手いないから一緒に夏休みを楽しもうね、なんてキラッキラした笑顔で言うシスコン嶺亜。

そんなこと言ったってどうせ自分は毎日取っかえ引っ変え女の子を家に連れ込むのである。

嶺亜(と日替わり女)と過ごす夏休みなんて絶対嫌だし何としてでも避けたいがあいにく仲のいいクラスメイトはみな彼氏とのラブラブ夏休みに夢中だ。

そんな夏は嫌だと思ってたけどこうなったらバイトでもするかなぁとぼんやり考えながら嶺亜にもういいわと告げると自室に戻り部屋着に着替えることもせずにゴロりとベットに横たわる。

普段なら服につくしわを気にするところだがなんて言ったって明日から夏休みなのだ。

例えわたしの予定が無くなったところで夏休みはまってはくれない。