小悪魔ちゃんと赤髪くん。 (ページ22)

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20. ページ22

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(翌朝)

『そっか、私は普通車なんだった』

ぴたっと立ち止まる。

危うくお兄ちゃんについていくところで、自分がE組だったことを思い出した。

「お前…本当にいいのか？今からでも…」

『別に気にしないし、グリーン車だと逆に落ち着かないかな』

「姫じゃないか。久しく見ない間にまた美しくなられて」

『榊原くんは姫って呼ばないでよ…』

いつまで自分のことを白馬の王子だと思っているのか、中学入学時から私のことを「姫」と呼ぶ。

そのせいもあり中1の時の私は若干孤立していたんだけど。

勝手に髪を掬う榊原くんの手を振り払って、E組の並ぶ列に向かう。

周りにいたA組が若干ざわついた。

「おい見ろよ、浅野さんマジでE組なのかよ…」

「浅野さんってちょっとずるいよねー」

「榊原くんの手振り払うとかひどくない？」

うるさいなあ、と思いながら振り向く。

そして不満そうなお兄ちゃんに満面の笑みで言った。

『じゃあね、お兄ちゃん。修学旅行楽しもうね』

・

車窓から風景を眺める。

当分灰色が続くであろうその光景に飽きた私は、横から回ってきたババ抜きでラス１を引かれた。

『上がり！』

「えーっ、またあ？！早いよー！」

「そ、そうですよ！お二人ばかりずるいです！」

トランプゲームはババ抜き、大富豪、神経衰弱の順に一巡して、私と赤羽が交互に勝つ結果になった。

その次は必然的に渚くんが赤羽のラス１を引くことになるので、次の上がりも彼だ。

つまり、座る順番が違えばどっちが勝ってもおかしくなかったってこと。

ちらりと顔を盗み見ると、いつもの人をバカにした顔をしていたので、心の中で舌打ちした。

『(腹立つな…)』

「(おい渚、なんであの二人あんな冷戦状態なんだ？！)」

「(僕もわからないよ…前からあんな感じだと思うよ、多分。)」