29 fukazawa ページ31
…迎えに行ったら、男と待ってやがった。
しかも、男に色目使われてた。
俺よりずっと身長たけぇし、落ち着いてそうだし、優しそうだし、真反対な男だった。
おまけに、「明日あたり会いませんか?」と誘ってくれたことが嬉しかった上に、俺のことを心配していたと言うAちゃんの優しさに完敗する。
なるべく平然を装うとするけど、うまくいかない。
なんでこんなにもいい女なんだよ!
だからホイホイ男が寄ってくんのか!
俺の「モテてる」とは次元がちげぇな!
そう思えば思うほどイライラする。
本当に俺は厄介な女の子を好きになった。
久々の恋愛だからか、うまくいかない。恋愛を教えられてるのは俺の方じゃねえか。
ゴミ箱にガサっと捨てたタバコを見ながら、自分で入れたはずの映画のも見ることなく、ヤケクソになってビールを飲み干す。
「呑みましたね、かなり」
「俺は安心すっと、よっぱらうのよ。呑みたくなんの」
「…私に心許してくれたってことですか?」
「まぁそんな感じ。あと、ヤケクソもあるけど」
最後の俺の言葉を聞き流したAちゃんは、「こんな姿見れて嬉しい」とまで言う。
酔っ払ってふわふわと浮ついている俺を見てこんな顔する女、初めて見た。
また好きなところが一つ見つかる。
好きになればなるほど、辛い。
事実から目を背けたくて、俺は映画の話に引き戻そうとする。なんて情けないんだろ。
「映画のカップル別れてたね」
残念ながら、エンディングしか覚えていない。
俺の言葉を聞いてAちゃんは、「はい」と優しく頷く。
「ですね。恋人をやめるときって、結婚するか別れるかしか無いですもんね。」
…たしかに。
そう思わず口に出た。
恋人だなんて、言ってしまえば“口約束”な訳であって、その約束を結ぶのも解消するのも、全て一瞬で取り付けられる簡単なこと。
なのに俺らはこの“口約束”を何をもの根拠も持たず信じて、縛って、その愛を抱えながら生きている。
…永遠なんて保証は何もない。
なんなら、Aちゃんが俺の手の中にいつまでもいる保証なんて、もっとない。
「私たちにも、いつか終わりがきますね。
深澤さんが恋愛のコンプレックスを解消して、私が恋愛を学びきったら。」
タイミングよく、Aちゃんは言う。
…そうか。俺たちの関係って“口約束”以下なのかもしれない。
そう気付かされた。
また、胸が苦しい。
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minmin(プロフ) - mizuiroさん» ギュンギュンを届けられて嬉しいです!夜は眠れているようで安心しました笑 (2022年5月24日 19時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュン...いえ、ギュンギュンします!!続きが楽しみで夜しか眠れないです!! (2022年5月24日 10時) (レス) @page41 id: c168ba2284 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - rinaboyaさん» ありがとうございます!面白いと言われるのが一番嬉しいです😊頑張ります! (2022年5月20日 22時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - ほんとにこの小説が面白すぎます...これからも頑張ってください! (2022年5月19日 23時) (レス) @page34 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - 深澤りんさん» ありがとうございます!(^^) (2022年5月12日 20時) (レス) @page28 id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:minmin | 作成日時:2022年4月18日 21時