21 fukazawa ページ23
少し黄ばんだ水色の表紙の文庫を片手に、タクシーの中で流れ行く街並みを目で追う。
大ぶりの雨はバタバタと車の屋根を叩いて、何故か少しだけ感傷的になった。
…あー、抱いちゃった。
俺の頭やカラダは、卑猥な気持ちや感覚でいっぱいになっている。
ちょっと気になってる子と一つ屋根の下で、黙ってられるほど俺は理性的な人間じゃ無いこと、俺が一番分かってるつもりだったのに、なんでこんなに落ち込んでるんだろ。
俺の腕の中で激しく揺られて、「ん」と小さく声を漏らして快感を堪えるAちゃんがほんっとうに可愛くて、堪らなくて。30歳になるカラダとは思えないくらい隅々まで白くてツヤツヤで綺麗で。
メイクもあまりしないしシンプルな装いで、雰囲気も素朴だから気づきにくいけれど、やっぱり凄く綺麗な顔立ちをしてる。スタイルも良いし。
誕生日のサプライズであんなに可愛くて優しい性格見せつけられた上、こんな姿まで見せられたら、落ちない男いるの？って感じ。
…惚れない男いるの？って。
今までは、俺が惚れやすい性格だからこんな良い女に見えるのかな〜って思ってたけど、いや、違う。
まじでただの良い女。俺が今まで見てきた中で一番。
だけど肝心なAちゃんは、カラダはこんなにも近くで触れ合って繋がっているのに、心はずっと遠くに置いていかれてることもヒシヒシと伝わっていた。
「アンセクシャル」
Aちゃんから出た言葉に、息が詰まりそうになった。
…俺、一生振り向いてもらえない恋始めようとしてるんだ。
そう思ったら、心臓がズキズキと痛くて、しばらく眠れなくて。
行為の後、するだけして疲れたのか、俺の腕の中で気持ち良さそうに眠るAちゃんに、「おやすみ」とキスを落とせば、柔らかくて暖かい感触に襲われて、でも心は冷たくて。
「きっと、深澤さんのこと好きにならないですよ」
と、平然とした顔をして俺を見つめて言った、Aちゃんの言葉が頭をよぎる。
その後に、俺に向けて笑った顔も、たまに見せる少し悲しそうな顔も、全部が頭をよぎる。
全部がかわいい。もっと知りたい、知りたいのに知ったところで傷つくだけかもしれない。
ダメだ。こんなにも心が苦しい。こんなにも苦しいならそれはもう、
「…たった今ね、この瞬間ね、俺は、
Aちゃんのこと、好きになったよ」
聞こえるわけもない小さい声で、気持ち良さそうに眠るAちゃんに伝えてみる。
冷たい空気に言葉が溶けた。
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minmin(プロフ) - mizuiroさん» ギュンギュンを届けられて嬉しいです！夜は眠れているようで安心しました笑 (2022年5月24日 19時) (
レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュン...いえ、ギュンギュンします！！続きが楽しみで夜しか眠れないです！！ (2022年5月24日 10時) (レス) @page41 id: c168ba2284 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - rinaboyaさん» ありがとうございます！面白いと言われるのが一番嬉しいです😊頑張ります！ (2022年5月20日 22時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - ほんとにこの小説が面白すぎます...これからも頑張ってください！ (2022年5月19日 23時) (レス) @page34 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - 深澤りんさん» ありがとうございます！(^^) (2022年5月12日 20時) (レス) @page28 id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：minmin
| 作成日時：2022年4月18日 21時
