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朝目覚めると深澤さんは先に起きていた。
コーヒーの香りが香って、もうすっかり私の家に慣れたかのようにテレビをぽーっと見ている。
初めて恋人と過ごした夜の朝はザァザァと雨が降っていて、少しひんやりしていた。
腰に残っている昨日の感覚も段々と薄れていた。
もう、梅雨になるもんなぁと思いながらカーテンを開けると、その音に気付いたのか、深澤さんは「Aちゃんおはよぉ」とこっちを見つめる。寝癖がふわふわと揺れていて幼く見える。少しだけかわいい。
「おはようございます」
「気持ち良さそうに寝てたね」
「んー、はい。ゆっくりできる日、実はなかなか無くて」
「仕事？俺も。もうすぐ仕事行かなきゃなんだよね」
スマホをチラッと見ながらそう呟いた深澤さんに驚いた。
「え！？そうなんですか！？
や、そんな忙しくは無いけど…深澤さんに比べれば大したことないけど、…フリーターだから」
私が言うと、深澤さんは立ち上がって服を着替えながら、「あー、そっかぁ」と小さく言った。
「小説って、どんな感じで書いてるの？」
「どんな感じ…んー、これとか」
見せられるものではないと思って、箪笥の奥底に眠らせていた一冊を引っ張り出す。
一応小説としての形にはなっているものも、売り出すどころか出版社に売り込む勇気すらも無くて、ましてやタイトルさえも決まっていない、捨てようか迷っていた一冊。
「これです」
「え、全然普通に売ってそうな見た目」
「見た目だけ一丁前なんで」
「そうか〜？うわ、文字がいっぱい」と深澤さんは当たり前なことを言い、パラパラと小説の中身を見る。
「タイトル、決まってないんだ」
「はい。なんて付けたら良いのか分からなくて」
「今俺がつけようか」
「やめてください」
「なんだよ」
深澤さんは「あははは」と呑気に笑っている。
スーパーアイドルも計り知れない苦労があるだろうけど、私のこの醜い気持ちなんて、理解できなんだろうな…と少し悲しくなった。理解して欲しい訳ではないのだけれど。
「これ、読みたい。貸して」
考え事をしていたら、深澤さんはサラッとそんなことを言った。
「…え」
「今日の仕事、空き時間どうせあるし。てかそもそも俺、Aちゃんの書く本読んでみたかったんだよね」
深澤さんは「本当は、本苦手なんだけどね」と少しだけ笑っていた。
結局深澤さんは、「あ、時間やばい。またね！すぐ会お！次会う時コレ返す！」と私の本を抱えて、嵐のように家を飛び出した。
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minmin(プロフ) - mizuiroさん» ギュンギュンを届けられて嬉しいです！夜は眠れているようで安心しました笑 (2022年5月24日 19時) (
レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュン...いえ、ギュンギュンします！！続きが楽しみで夜しか眠れないです！！ (2022年5月24日 10時) (レス) @page41 id: c168ba2284 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - rinaboyaさん» ありがとうございます！面白いと言われるのが一番嬉しいです😊頑張ります！ (2022年5月20日 22時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
rinaboya(プロフ) - ほんとにこの小説が面白すぎます...これからも頑張ってください！ (2022年5月19日 23時) (レス) @page34 id: a9150a3a31 (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - 深澤りんさん» ありがとうございます！(^^) (2022年5月12日 20時) (レス) @page28 id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：minmin
| 作成日時：2022年4月18日 21時
