: ページ20
.
「亮平…！」
私はドライヤーもかけずにびしょびしょの髪の毛で亮平に抱きついた。
阿「ごめんA、久しぶりなのに俺飲み会帰りだからヤバイでしょ。髪の毛、乾かしてあげるからドライヤー持っておいで。」
この優しい声が、大好きだった。今だって大好きだよ。
スーツを干してすぐ綺麗にするあたり、やっぱり変わってないんだね。
ソファに座ってネクタイを緩めて、私の髪を優しく乾かしてくれる。
こんなに甘えても、彼は全てを許してくれる人だった。
その優しさに、甘えすぎたね。
乾かし終えた亮平は直ぐ様シャワーを浴びに行った。このシャワー音が聞こえるのも、最後かもしれない。
そんな彼への情に掻き立てられているときに限って。
「…もしもし。」
深「俺だけど、今平気？」
「…少しだけなら。」
深「あのさ、突然だけど明日会える？夜。」
前言われた『また』は、明日のことだったみたい。また何かが壊れる音がする。
シャワーが止まる音。上がってくる、亮平が。
それなのに、久しぶりに聞いたこの柔らかい優しい声が耳に残って離れなくて。
苦しさと、好きと、罪悪感が入り混じる。
「分かった、仕事終わってからね。」
地獄に堕ちた人間は、いつまで経っても這い上がれないらしい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 349人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
た あ す ん 。(プロフ) - ぽにょさん» 嬉しいお言葉、本当にありがとうございます。阿部くんsideのお話をずっと書こうか迷っていたので、これを機に書きたいなと思います。背中を押してくださりありがとうございました、どうかそちらでもよろしくお願い致します。 (2020年7月7日 1時) (
レス) id: b94247b389 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょ(プロフ) - 切なすぎて泣けました、、、これあべくんとの幸せなエンドも番外編とかでいいのでよければ書いていただきたいです、応援しています！ (2020年7月6日 0時) (レス) id: 2c3c24b282 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：深
| 作成日時：2020年6月16日 3時
