好きだからこそ居られない・・【SARU】 (ページ10)

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ｍｉｓｓｉｏｎ１０ページ10

「・・あなたを捕まえる？」

ベータはクスッと笑った。

「今更何年も前に裏切った人なんてぇ～捕まえちゃおうなんて思うわけないじゃないですかぁ」

ベータの言葉に私はハッとする。

そうだ・・

彼らルートエージェントには私はずっと前に裏切っていることになっている。

いまさら捕まえようとしたら彼らに動揺を与える。

表立って私を捕まえようとはしない・・そういうことなのかな・・？

・・だけど・・だからって安心できない。

だって私・・

セカンドステージチルドレンの研究に協力していたから。

陰ながら私たちの生態解明のためにエルドラドでいろいろ協力していた。

・・だから、エルドラドが私を捕まえる理由は・・十分にある！

(あぁ～もうっ・・なんでこんなに私は逃げなきゃならないのよっ！！)

私はしゃがみこんで膝を抱える。

(ただ・・もう何にも縛られたくなかった・・苦しみたくなかった・・)

大切な人を裏切る行為・・

笑顔を向けられる度の罪悪感・・

私はその二つから・・逃げたかっただけなのに・・

私はふと空を仰いだ。

(もうこんなに暗くなってる・・戻らないと・・天馬君、心配するよね・・)

心配するかなんてわからなかったけど、多分心配するかな？そう思った私は帰路を急いだ。

・・今は考えたって、悪い方に考えが行ってしまう。

考えないようにしよう・・

それが一番だと私は思ったのだった。

・

・

「A！」

お寺に戻った私に一番最初に話しかけたのはフェイだった。

「・・フェイ・・」

フェイはどこか深刻そうな顔をしていた。

「君に・・聞きたいことがあるんだ。」

フェイの言葉に私は顔を青くする。

(まさか・・私を知らないふりをしていたの！？)

ううん・・そんなまさか・・

フェイは・・嘘なんて付けない子・・

だとしたら一体・・

「君はどうして僕のことを知っていたの・・？」

「えっ・・」

な、なんだ・・そっちかぁ・・

「そ、それは・・あの、会ったこと・・会ったから・・」

嘘はついていない。

真実だよ。

だけど・・

「ごめん・・やっぱり・・わからない。」

ううん・・それでいいの・・

私は心でそう言った。

「・・だけど・・」

「だけど・・？」

何かを言おうとするフェイに、私は何を言おうとしているのかを尋ねる。

「・・・ううん。なんでもない。」

フェイはそう言って去ってしまった。