心からの愛を叫ばせてください。 (ページ37)

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ー海青sideー

今日は冬のツアーに向けてリハーサル。

樹「そこは右からで、」

彰吾「もっとしなやかな動き意識して、」

みんなが集中してるこのかんじ、

…いいなぁ。

力矢「じゃあ、いっかい休憩で」

海青「はぁー！」

壱馬「なんなんそれ、ため息？笑」

海青「違います違います笑」

少したわいもない会話をしてからスマホを取り出す。

…わ、すごい数の不在着信。

太樹、から？

なにかあったのかな…。

とりあえずかけなおそ。

海青「すいません、ちょっと。」

prrr…prrrr…

太樹「ﾊｧ、ﾊｧ、海青さんっ！」

海青「うん、どうかした？」

息が切れてる。

めっちゃ慌ててるし…

太樹「すみれ、が…、すみれがっっ…!!!」

海青「落ち着いて、ちゃんと聞くから。」

太樹「ﾊｧﾊｧﾊｧ……すみれが、居なくなったんです。」

海青「え？どーゆーこと？」

太樹「連絡、繋がらなくて。」

太樹は全部話してくれた。

一度告白してフラれたこと。

それが学校中に広がったこと。

そのせいですみれがいじめられてること。

主犯はご令嬢だってこと。

全部全部。

海青「そっか。今から行くから、どこにいる？」

太樹「◯◯駅です。」

海青「わかった、待ってて。」

一大事だ。

まだ確定したわけじゃないけど。

スマホがないと人と会話が難しいから、

すみれは常にスマホとモバイルバッテリーを充電満タンで持ち歩いてる。

連絡がつかなかったことは一度もない。

…なにかが、起きてる。

みんなを困惑させないように、

リハーサルを止めないように、力矢さんと壱馬さんだけに話すことにした。

海青「──────ってことらしくて、」

壱馬「…すみれが、？」

力矢「それ、まじめな話か？」

海青「はい、まだ確定したわけじゃないんですけど、」

力矢「…そうか。」

海青「今からリハーサル、抜けていいですか。
　探さなきゃいけない気がするんです。お願いします。」

俺は頭を下げた。

すると、

壱馬「俺も、お願いします。」

壱馬さんも深く頭を下げる。

…さすがお兄ちゃんだな。

力矢「わかった、行ってこい。」

「「ありがとうございます」」

力矢「なにかわかったら連絡して。
　できるだけ早くリハーサル切り上げて行くから。」

壱馬「わかりました。」

俺らは着替えもせずスマホだけもって事務所を飛び出した。