僕はまだ君を愛さないことができるII (ページ7)

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会社の飲み会終わり
華金で次の日が休みってこともあり上司や同僚たちがいい具合に出来上がってワイワイ話している最後尾で俺は河野さんと並んで歩いていた。

『2軒目行くんですか？』

「いや、イベントの資料作らなきゃいけないし」

『そうですか…』

何か考えている様子だった彼女が前の方に走っていき

『すみません！あの、父が厳しくて門限あるのでそろそろ帰ります』

えー！！！！とみんなが言い、マキちゃん家にお許しもらいに行こうとか酔った悪いテンションで絡むやつもいて、そいつにもすみませんまた飲みましょうと律儀に対応する彼女。
それでもまだ諦めない同僚を押さえ

「俺が送るよ」

『え、はい！！』

「ってことで俺もお先失礼しまーす」

そう言えば、なんでだよ深澤いないと盛り上がらないぞ！と駄々をこねる

「仕事残ってるんで！」

『あっそれはもう！主任！任せた！ありがとう』

『んじゃ！2軒目行って参りまーす』

仕事があると伝えれば簡単に諦めてくれた。
彼女に行こっかと声をかけ、みんなとは反対側へ歩き出した。

「門限厳しいんだ。こんな時間まで引っ張っちゃってごめんね」

『……あぁ、すみません。嘘です』

「え？」

『父親なんていません』

「えぇ？そうなんだ…
でも、こうやってみんなで飲めてよかった
親睦を深めるにはたまにはいいかもな」

そう言った後なにも彼女が話さないものだから慌てて

「あぁ…こういうのもパワハラになるんだっけ
無理に飲み会誘ったのも嫌だった？」

『ちょっと残念でした
2人でご飯だって思ってたから』

彼女が言っているのはこの間の飯の誘いのことだと思う
はじめは2人で行こうかと思っていたけど結局そこまでの決心はつかなくて今日の飲み会のような形にしたんだ

『今度は2人でご飯、ダメですか？』

突然彼女が立ち止まり俺の腕を掴んで
しかも上目遣いでそう言うものだから
なにも言い返せずにいると

『あ、ごめんなさい。
こういうのセクハラになりますよね
部下からでも相手が嫌な思いしたらセクハラになっちゃうんですよね』

そう俯いて悲しそうに言う彼女がなんだか可愛くて

「嫌じゃないよ」

気づけば無意識に彼女にそう伝えていた