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ふっかが「なんでもない」と言ったと同時にふっかのスマホに着信が入った。
きっと河野さんだと思う。なのにふっかはスマホを取ろうとしない
．
「出たら？あの子でしょ
トイレ行ってくる」
「あぁ…」
．
逃げるようにトイレへ急いで入って鏡を見て我にかえる
なんで、ここに逃げて来たんだろう。
．
＜「2人がいちゃついてるのを見たくないから」＞
「なんで？ふっかは親友でしょう？」
＜「だったら、なんであなたはここに逃げて来たの」＞
．
私の中のもう1人の私が問い詰めて
わかってる。わかってるんだよ
親友って立ち位置でありながら他の女の子に奪われそうになると毎回こうやって動揺してイライラして’’取られたくない’’って感情が湧き出てくる
それはなんでなのかはわからない
私のため息がその空間に寂しく響いた
．
トイレから出てくると彼は寝てしまっていて
布団をかけてあげようと近づけば握り締めたスマホからは河野さんの声
．
《『辰哉さん？どうしました？辰哉さん？』》
おーいと呼び続けるふっかのスマホをそっととり
「もしもし、ふっか寝ちゃったみたい」
《『あぁ…そうですか
じゃあ、今日はもう戻らない…ってことですか』》
「無理そうだね」
《『じゃあ…今日は2人で泊まるってことですか』》
「心配しなくて大丈夫
私にとって彼は女で、彼にとって私は男だから」
．
自分の醜い心に言い聞かせるように彼女へ言った
そうだよ、彼は私のことを女と思って見てない
でも、今日くらいは
ふっかが起きる前に私が起きれば良い話なんだから
．
そう言い聞かせて
私はふっかの眠っている隣へ寝転んで目を閉じ
今日のことは全部酔った勢いってことにしてしまおう
本当に最低な女だ。私。
私はふっかより先に起きれなかった
それからは2人とも喧嘩した後のよそよそしい態度みたいな感じになっちゃってすごく気まずかったし
ふっかはホテルの部屋を出るまで一回も目を合わせてくれなかった彼を無言で見送った後にドアを開けようとした時に
［Aさん
昨日はごめんなさい
先に戻ります
目黒蓮］
という目黒くんからのメモが目に入ってまたため息が出た
．
これが名古屋での一部始終。
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作者名：Fu-ka | 作成日時：2020年5月11日 21時
