72-sideF ページ22
《「ずんぶん余裕みたいだね」》
「余裕って？」
《「すぐにでも電話かけてあの子について感想聞きたいんじゃないの？」》
「あぁ…どうだった？」
《「まぁ、悪くはないと思う
自分の魅力わかってて、若さを最大限に謳歌してた。私とは真逆」》
「そっか、それで？それは褒め言葉？」
《「さぁ〜。で？どうすんの？」》
「どうすんのって…
さっきお試しで付き合いませんかって言われた」
《「……いいご身分だねふっかさん
モテ自慢のつもり？」》
「違う！悩んでるからこうやって相談してるんだ
…A俺実は」
．
言ってしまいたかった
俺実はずっと君のことが好きで
でも今君には気になる存在がいて
君を諦めるために、河野マキと付き合ってしまった方がいいのか、って
．
でも、神様はどこまでも意地悪で
俺にその言葉を言わせてくれなかった
．
．
トントンと中から窓を叩く音
振り返ればブランケットを見せながら
''さむくない？''と聞いてきていた
．
「寒くないよ」
《「…誰かいるの？」》
「その…今河野さんの家にいる」
《「迷ってるって言いながらノコノコ家に行ってんの！」》
「ちがう！それは河野さんの家に泥棒が入っ《「はいはい、男は下半身と頭が別の生き物だからね、お邪魔してごめんね！続きをごゆっくり楽しんで〜じゃね！」》
．
おい誤解すんな！そう伝えたかったのに
あっという間に彼女は電話を切ってしまった
諦めてごめんねしばらくほったらかしにしちゃって、と彼女の部屋に戻れば
．
『さっきの話、お試しでもダメですか？』
．
もう、どうにでもなれ
そう思った俺は
．
.
「わかった。いいよ
でも、今日は帰るよ」
．
.
自分の想いに再び蓋を閉めた
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作者名：Fu-ka | 作成日時：2020年5月11日 21時
