僕はまだ君を愛さないことができるII (ページ2)

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『主任お疲れ様です』

「お疲れ様～

…あの髙地さん
これ頼まれていた資料です
横浜店の売り上げここ半年で10%もダウンしてました」

『そっかぁ～まぁネット通販に売上持ってかれてるからなぁ』
「ネットだけじゃなくて、わざわざ店舗に足を運びたくなるような仕掛けを早急に考えないといけないですよね？」

『うーん…そうだねぇ』

そうだねぇといいつつもその先は言い出さない上司をこいつ…と思いながら机に広げられた資料に目をやると、その延長線に【髙地優吾】と書かれた社員証が見えて
今朝真琴さんから聞いた恋の種まきを思い出す

《『その1、下の名前で呼ぶ』》

「ゆ、ゆ、ゆ…」

『ん？どうした？』

上司の声が聞こえてふと我に帰り
いやいや、社内恋愛で痛い目見たんだから、と首を振って

「いえ、何かいい案考えておきますね」

『ほんと？助かるわ。よろしくね』

ヒラヒラ手を振り去っていく上司を見送りながら
人任せかい、とため息を吐いた

『オテアライ主任！』

久しぶりに呼ばれたその呼び方にまたため息が出たが振り返れば真鶴さん。
オテアライ主任にどうしても見ていただきたいものがあって…と取り出してきたのはハイヒールのデザインを書いたノート

『描けば描くほどアイデアが次々と溢れてきて！一番最初に主任に見てもらいたかったんです』

「そっか…
意見が欲しい？」

『はい！辛口でもいいので』

「17歳に戻ったら私は…」

軽く50個ほど描かれたデザインの中から厳選した6つを指した。

「これを買いたいって思うかな」

『ありがとうございます！！！』

「別に私にお礼なんて言わなくてもいいよ
真鶴さんが頑張った結果だから誇りに思えばいいと思う」

『私、憧れてたんです。オテアライ主任のこと。
堂々とした、かっこいい女性だなぁって』

「ありがとう
でも、憧れていてくれるなら私の名前間違えないで欲しかったかな
''オテアライ''じゃなくて''ミタライ''なの」

そう笑顔で言い部屋を出ようとすると彼女は顔面蒼白

『違うんです！勘違いです！私帰国子女で漢字苦手で…本当にすみません
でも、なんかオテアライって変だなぁって思ってたんです、あはは』

そう笑ってごまかそうとする彼女に少し呆れてほんとあなたねぇ…とまた出ようとすれば
ああちょっと待ってください！ごめんなさい！と追いかけてきて少し面白かった