僕はまだ君を愛さないことができる (ページ46)

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あっという間に休日は去り、また仕事が始まる。

「外回りはもう慣れた？」

『まだちょっと緊張します』

へへっと笑ったあと彼女が急に足を止めた。

「ん？どうした？」

『時間ってまだ大丈夫ですよね？』

「うん、ちょっとなら」

『ここ、寄っても良いですか？』

そう言って彼女が指さしたのは鮮やかな花が咲き誇る少しおしゃれな花屋だった。
いいよ、と言えば
嬉しそうに花屋に入っていく彼女。
花が緊張をほぐしてくれるのかな？と思いつつ外で待っていると

『すみません、お待たせしました』

「じゃあ行こうか」

振り向いて見てみれば彼女の手には花束

「それどうすんの？」

『今から会いにいくオーナーさんにお渡ししようと思って』

「あぁ！じゃあ領収書貰わないと！」

『いえ大丈夫です！私が綺麗だなぁって思って買っただけなので。私からの気持ちなんです
それに、私もこのお花見て元気出たので！』

そう笑って歩いていく彼女に少し頼り甲斐を感じた。

ーーーーーーーーーー

「おはようございます」

『ああ！深澤さん！』

「いよいよ明日オープンですね
明日はお忙しいと思ったので今日のうちにご挨拶を、と思いまして」

『本当に深澤さんのおかげでこんな立地のいいビルにいい価格で入れて…
本当になんとお礼を言えば』

「いえいえ、東京初進出でうちを選んでいただきこちらこそ光栄です
…あっ！こちら、私と一緒にやっています
タウンマネジメント課の…」

そこまで言ってから彼女にどうぞ、とアイコンタクトをする
すると彼女は慌てて

『開店祝いのお花です！！』

『えぇ！お花まで！ありがとう』

『はい！』

名乗るよりも先に花を渡しに行った彼女に少し笑ってしまったが
花を渡して達成感ありありの顔でこちらを見た彼女はその俺の顔を見て気づいたようで顔を真っ赤に染めて

『あっごめんなさい
タウンマネジメント課の河野マキです』

と少し遅れて挨拶した。

「今後私と一緒に渋谷エリアを担当しますので以後、よろしくお願いします。」

『どうぞよろしくお願いいたします』

とりあえず、彼女のお花作戦は成功したようだ。