僕はまだ君を愛さないことができる (ページ45)

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久しぶりになんの予定もない休日

「おはよ～」

『おはよ
あぁ～LINE死ぬほどくる』

「なにしてんの？」

『種まき』

「は？」

『恋の種まき。新規開拓中～』

「えぇ？まだ離婚したばっかじゃん」

『おぉ？いつの話してんのよ』

「25日前」

『切り替え早くてなにが悪いの？
恋愛はね、いきなり始まるわけじゃないの
畑を耕して、種まきして、時間が必要なの～』

「ふぅん」

『恋のね、蕾をちゃんと育てておかなきゃ、手間隙かけて水と肥料を与えないと花は咲かないの。
ねぇ聞いてんの！？』

姉貴から謎の恋愛観を朝から聞かされるならなんか予定入れときゃ良かったかなぁ

『真琴、大丈夫よぉ
辰哉はモテるんだから』

『えぇ！？そうなの！？』

「まぁね～」

『お父さんが亡くなってから私たち頑張ったじゃない？
辰哉を一人前の男に育てようって』

『辰哉さ、泣き虫だったから大変だったよねぇ』

『でもその甲斐あって、聞き上手で気は効くし、女心は理解してくれるし…
息子っていう色眼鏡をとってもこんな男なかなかいないわよ』

『エアコンの掃除してくれるし、電球替えてくれるし、お母さんの肩揉みしながら私の肩揉みもしてくれるし～』

そう言って私のも、と椅子をわざわざ俺の前に持ってくる姉貴にも仕方なく肩揉みしながら

「俺は召使いか！」

そんな俺の一言も虚しく

『久しぶりに辰哉の作ったスクランブルエッグ食べたいなぁ♪』

『あ！じゃあお母さんは半熟で！』

『辰哉が作ると美味しいから』

声を揃えてねぇ～っと顔を見合わせる2人を見ると俺に拒否権がないとわかり

「はいはい、作りゃ良いんだろ」

まぁたまにはこんな休日もありか
とキッチンへ向かった。