僕はまだ君を愛さないことができる (ページ41)

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買い出しを終えて家に着けば
机の上には大量の魚料理。

『辰哉くんがきてくれると助かる～
お父さんが釣り行った日大変なのよ』

「すごい量ですね(笑)」

私が買ってきた日本酒を置き、グラスをとりに行こうとキッチンへ向かおうとすれば

「あんたは座ってて
辰哉くんの隣よ～」

そう言ってふっかの隣に座らせられて
その向かいにお兄ちゃんも座る。
お兄ちゃんは、私たちが高校生の頃ふっかの家庭教師をしていたのだが

『もう、先生っていうのやめない？』

「いや、先生あっての僕なんで！」

『君みたいな秀才をAと同じ大学にしか行かせられなかった。
君の家庭教師として本当に申し訳なかったと思ってる』

「いやいや僕の力不足です」

『本当にすまなかった』

「ねぇ、私がバカみたいな言い方しないでよ！！！」

『もうくだらないことで揉めないの！』

『辰哉くーん今度は一緒に釣りどうだい？』

「是非！！」

『よしよし！また良い釣竿貸してあげるよ』

「ほんとっすか！楽しみです」

「時間作れるの？」

「もちろんよ
初めておじさんが釣りに行くか！って誘ってくれた時嬉しかったなぁ」

『なんだなんだぁ急にどうした？』

「6歳の時に親父死んじゃったから、親父の記憶なくて…
生きてたらこんな感じだったのかなって

…なんかしんみりさせちゃいました？(笑)乾杯しましょ！」

「そうだね、乾杯しよ」

『さ、かんぱーい』

「「『かんぱーい』」」

食べ始めれば久しぶりにうちに来たふっかのことで会話は弾んで

『辰哉くん～今忙しいの？？』

「まぁまぁっすね」

「ふっかのちっちゃな海に、可愛くてピッチピチのお魚が現れたの！」

「おいやめろよ」

『おいなになに！
だったらそのお魚ちゃんを先に釣らなきゃなあ！！』

『ね、辰哉くん！あたしと気が合いそう？』

『お母さんは関係ないだろう』

『何言ってんのよ辰哉くんはね、うちにとったらもう1人の息子みたいなものだもん』

『で、どうなんだ？
もう手は握ったのか？』

「いや、まだ…」

お父さんの釣りに例えた恋愛テクニック講座が始まってしまった

『来たなぁ！！！と思ったら
サッと引き上げてフィニーッシュ！！！

…でももたもたしてるとAと辰哉くんみたいに…「お父さん」

はぁごめんごめん、例えが悪かったな
永遠の親友だもんなお前たちは』

「そう！」

その後もお父さんのふっかへの恋愛指導は長々続いた