僕はまだ君を愛さないことができる (ページ23)

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―――12年前

佐久間がジャージ事件の腹いせに
偽のラブレターを書いて笑い物にした。
その事実を知った彼女は今、怒って早歩きで帰っていて、俺は彼女がつまづいて転んだ時に脱げたローファーを渡そうと追いかけている。

「はぁ…何よ！
ここまで笑いにきたの？」

「…ごめん
もっと早く気付いてれば」

謝罪も含め、ローファーを渡す
彼女は奪い取るみたいにローファーを受け取り

「あんた何様？馬鹿にしないでよ」

急いで履いてそのまま行ってしまいそうになった

「君が転校してきてから、一度だって馬鹿にしたことなんか…
むしろその逆だよ！！」

「どういう意味？」

「君はすごいなって、ずっと
だから、もっと有効的にできたらって…
…あ、好きとかそういう意味じゃなくて
あぁ…好きにはならないから。うん
絶対ならない。それは無理なんだけど」

思ってもない言葉ばかり出てきてしまう
この言葉のせいで、何年後かの俺が苦しむなんてこのときは思いもしなかった

「…わざわざどうも」

君をどれだけ傷つけたかも
この時の俺は子供すぎてわからなかった