僕はまだ君を愛さないことができる (ページ15)

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店内で響くお客様の怒号に駆り出されるのはいつも私の仕事で

「どうかなさいましたか？」

『こちらのお客様が、靴ずれするから返品したいと…』

「それはお困りでしょう
どのあたりが靴ずれなさるんですか？」

『ここよ！ここ！
私が嘘をついているとでも？』

「とんでもないです
靴の状態を確認して、出来る限りアフターフォローさせていただきます』

靴を預かり、店舗裏でお客様が靴ずれするとおっしゃった部分を少しずつ調整していく
足の形は人それぞれだから靴の形も微調整が必要なのだ

「お待たせしました
お履きになって見てください」

嫌な顔をしながら靴を履くお客様
しかし、履いてみると靴ズレしていた部分が直ったからか驚いて何度もそこを見ているため続けて説明する

「中敷きを入れて、当たる部分を柔らかくしてみました
いかがでしょうか」

靴を履いた時の反応が良かったため
安心しきっていた私にお客様は

『バカじゃないの？
私は修理して欲しいんじゃないの
返品したいの！！！』

「ですが…」

『ですが、ってあんたねえ！！！』

やばい、非常にやばい。
このタイプのお客様は返品を許すまで帰らない。
どうしよう…

『どうかなさいましたか？』

現れたのは岩本照。
結局、返品を受ける結果になってしまった

『大変申し訳ございませんでした』

頭を下げると私と部下の時とはありえないくらいの態度の違いで

『ありがと♪』

ご機嫌で帰っていくお客様。

『ありがとうございました』

『大丈夫大丈夫気にしないで』

側から見たらいい上司なんだと思う。
だけど…