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とまぁそんな冗談を言いながら、なんとかモチベーションは保ってるけど、この手のことが苦手なのか康二くんは笑うことが少し減った気がする。
時々ラウちゃんたちが話を聞いてるみたいだけど、部活の雰囲気が悪いせいで結局効果なし。
そして、意外にもさっくんがずっと変わらずに元気でいてくれてるのが唯一の救い。
そんな感じで過ごしていたら、段々と冬が近づいて来た。その寒さに足を冷やしながら登校する。
勿論、ふっかは隣にいる。
勿論という表現はなんか変だけど、こんな状態でも登下校は変わらない事が嬉しいような、それこそ、蜘蛛の糸のような、細長くていつ切れてもおかしくない繋がりだった。
でも口は聞かない。
話しかけて無視されることが殆ど。だから私から話しかけることも辞めた。
ちょっと前まであっという間に着いていた目的地が、今は4、5キロくらい歩いたくらいの体感だった。
家に着いて、宿題をして。
明日の部活のやることとかまとめて。
来週から降るらしいその予報を耳に入れながら夕飯を食べる。
今日もふっかと口を聴かずに終わってしまった一日が虚しかった。
教室にいる時、ふっかはよく喋る。
「このデザインいいね。あ、今日アイライン変えたの?」
「ええ!なんで分かるの!?」
「そりゃわかるよ、かわいいもん。」
女子と。
どういうこと?なんて思わなかったことはないけど、それは私と他の子達との差はどういうこと?という疑問。
正直、ふっかが誰と話してても気にはならないけど、ただその態度の差は、話すようになったあとも、どうしても気になって仕方がなかった。
そして今、話さなくなったからこそなのか、その疑問は膨れ上がっていく日々に、私は疲れていた。
「ちょっとまってよ!!」
「どうして?もう決めたことだから。」
ひーくんの手を振り払う。
それでもひーくんはまた繋ぎ直す。
そのしつこさに段々と苛立ちが募っていく。
「何も辞めるまでしなくたって!!!」
「ダンスは連携が第1。こんな不和になってるなら元も子もないし、原因の私が退部するのは当たり前じゃない?…確かに、中途半端に仕事放りだしてて、ごめんねって思うけど。」
「違う。Aちゃんが全部背負い込むことじゃないってこと!ふっかと話し合お…?」
「無視されるのに?」
大分キツい言い方だったと自分でも思う。
でも今日はどうしてもイライラが収まらなくて。
教室で見るものが嫌で。
押さえ込んでいた怒りが限界だった。
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作者名:函娘 | 作成日時:2023年9月26日 20時