思い想われ雨右回れ (ページ43)

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急にタオルで叩かれた。
やっぱりこいつの中のバイオレンスな部分は消えてなかったことが、ちょっと残念なような、安心したような。

「俺も拭いて。」
「自分で拭きなよ。」
「拭いてやったのに？」

…頼んでは無いけどね？
という言葉は勿論し舞い込んで。
黙ってふっかの髪を拭く。
改めてじっくり触ってみると、こんな感触なんだとか、あっつむじ、とか。
新しい発見と新鮮な気持ちになれる。
ほぼ新しい発見が多いんだけど。

「あぁ…いいね、そこ。そこいい、きもちぃ…。」
「………。」
「もっとそこ…そうそうじょうず…」
「わざとだね？」
「バレんの早くない？」

言い方がわざと過ぎて乗るに乗れないそのノリを無視しながら拭いていく。
やっぱり男の子の髪だからか、ふっかのほうが乾くのが早い。

「でも、気持ちいのも上手なのもホント。」
「………。」

まただ。
素直に褒められてるはずなのに。
なんか胸がくすぐったい。というか、ある意味苦しい。

おかしい。私も、心のどこかで欲しかったはずの優しさなのに。
なんだろう、すごく違和感がある。

「A？どした、手が止まってるけど。」
「…ふっか。変だよ。」
「なに？具合悪い？」

顔を覗き込んでくるふっかの顔を見て、苦しくなる。

「違う、なんで、そんな、」
「…ん？」
「そんな、急に優しくなるの…？」
「…あ、俺？」

ずっと思ってた違和感。
優しいはずなのに、なんか違うと訴える私の頭。
それは教室にいる時が特に強くて、その違和感の招待を今自覚してしまった。

ふっかは、私の前であんな風にキラキラ笑ったことが1度もない。

「なんで、私がこの間、言ったから？だからなの？」
「A？」
「ふっかに、嫌われてるかもとか言ったから、優しくするの？」
「それは違う。」
「だって変だもん。」

最近の私もおかしい。
いえなかったことが言えるようになったんじゃない、抑えが聞かなくなった。
ふっかの隣にいて、幼馴染として、親しくなりたくて、どんどん欲が溢れてる。

「いつもならバカにしたり、頭グリグリもっと強くしたり、どついたり、蹴飛ばしたりしてたのに、急になんか、優しくなってさ、変だよ、ふっか。」
「お前…それさ…。」

怒られるかな。
怒るよね。
こんなめんどくさい事。
私だって、自分が1番めんどくさい。

「……大分Mなこと言ってる自覚ある？」

「……………。

ちょっと待って。言い換える。5分頂戴。」
「ん。」

勢いって怖い。