思い想われ雨右回れ (ページ5)

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さて。無事に追試も合格し、伸び伸びと夏休みを過ごす中週に3回登校する日がある。
まあ1ヶ月近い夏休みの中の登校は憂鬱でしかないけど、こればっかりは喜ばずにはいられない。
何故なら、クーラーがガンガン効いた図書館で好きなだけ本が読み放題だから。
元礼拝堂を改造して作った図書館広さも環境も充分。
しかも夏休みの図書館なんて誰も使わないのでそれはもう天国。

なのにだ。

｢遅い。｣
｢ふっかは早過ぎない…？｣

集合時間の、15分前なのに既にいるふっかに目を丸くする。
しかもあなた結構寝起き悪いほうじゃない…？何時に起きたの？
と、時間を逆算しようとしたけど怖くてやめた。
何時に起きたとか興味はなくないけど、｢俺こんなに早く起きてえらいから。｣という謎マウントを取られるのは目に見えていた。

ふっかとは本当に腐れ縁が強すぎて、常に一緒に何かしてるという認識は、私にもある。
役職やら何やら被ることが多い。
ただ、図書委員に関しては、ふっかが自分から挙手したことに今考えても驚きだった。

あの、本なんか無縁の、ふっかが。
自分から名乗りあげるなんて。
漫画以外読んだことある？って聞いたらデコピンが返ってきた。

「いいじゃん、幼馴染組で。」

担任のその一言に、教室が湧く。

いや、ダメだろ。こいつ絶対サボるじゃん。
私一人じゃん。やだよ。

の、気持ちを全面に顔で出して表現するけど、「A、顔面白いことになってるぞ。｣と、笑われただけだった。
こっちとしては何ひとつとして面白くない。
ふっかにも、「ほんとにやるの？」と聞いたらしつこいと怒られた。

「だって…」
「なに、俺と委員会嫌なわけ？」
「そりゃ嫌かな痛たたたたたたたたた」

ふっかの手が大きいのか、私の頭が小さいのか、はたまたどっちもか。
どの道ふっかの手に掴まれた私の頭はアイアンクローを食らっている。
心做しか骨が軋む音すら聞こえてきそう。