40 ページ40
言い訳しか出てこない自分が情けなくて。
「大丈夫。ちゃんと聞くから。」
ずっと逸らさず待ってくれたふっかに、意を決して伝える。
「…あの、ね。」
「ん。」
「……ふっかの、迷惑になりたくない。」
「どんな迷惑？」
「うぇ！？」
そこまで聞くの？！と、驚いていると、ふっかは真剣な目で見つめていた。
「…えっと、……ふっか、私の事、嫌いだから……わざわざ、距離詰めなくて、いいんじゃないかなって、ずっと思ってた。」
それは、マネージャーの事だけじゃなくて、いつも思ってることも含めてだった。
こんな時じゃないと、本当のことが言えない自分も、卑怯だと思う。
それでもふっかは、目をそらさずに、「…そっか。」と、相槌を打つ。
「最近、すごく話しかけてくれるのも、ママたちが私たちのこと、仲がいいって勘違いしてるからで、ほんとはふっか、違うんだろうなって……じゃなきゃ……その…あんなに、いじわる…しないじゃん。」
「…そっかぁ…。」
少し近くなったと思ったのに、自分から距離を開けているその言葉に虚ろになっていく。
悲しいとか、そういうのじゃない。きっと溝が深まると思って、言えなかった。
他にも、全然言えないことは多いし、言っちゃいけない言葉はもっとある。
だから、この気持ちだって、言うつもりは微塵もなかった。
「俺、Aの事嫌いって言ったこと1度でもあった？」
「無い、けど…」
「態度だよな、そうだよなぁ…」
そういうふっかは急にしゃがみこんだ。
心配してふっかと同じようにしゃがむと、苦笑いされた。
「お前はこんなに優しいのにな。俺って全然優しくない。」
「ふっかは優しいよ？だって荷物もってくれたし。」
まぁ、去年はそんなこと無かったけど。というのは置いといて。
「…はぁ。お前ってホント…。」
「なに？」
「俺らのマネージャーになってよ。」
「この流れで！？」
絶対今じゃないよね！？と思ったけど、あんまりに真剣に言うから、その言葉を引っ込めた。
「俺はAのこと嫌いじゃないし、迷惑なんて思ってない。…多少似た言葉は言ったろうけど。でも、マネージャーにはなって欲しい。」
「……。」
多少…？というところに疑問を持ったけど多分これ持ったらキリがないやつだと思ってやめた。
「…なんか言えよ。」
気まずそうに頬を搔くふっかに、力なく笑うと、「笑うな。」と怒られた。でも、いつもよりちょっと優しい。
「…考えとく！」
「……前向きな検討待ってる。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：函娘 | 作成日時：2023年9月26日 20時
