36 ページ36
「でも……」
「「でも？！」」
「めっちゃ食いつくじゃん。」
「いいからいいから！教えて！！」
「さっくん落ち着いて！…そんなに凄いことがあった訳じゃないけど……最近、行きと帰り、お話するようには、なったよ…」
「…それ、進歩か？」
「やめろしょっぴー。俺も思った。」
いや、うん。普通毎日一緒なら会話がない方がおかしいんだよね。わかるよ翔太くん、ひーくん。ところでさっくんはその痛々しそうな目で見るの辞めよっか？
阿部ちゃんなんかハンカチ差し出してるし。涙出てすらいないからいらないよ？
「別に何もないよ。ホント。最近ふっかから話しかけてくれたり、話せば返ってきて嬉しいけど…自惚れるつもりは無いから。」
「Aちゃんは、謙虚なんだね。」
「宮ちゃんに言われると嬉しいね。」
謙虚なんかじゃない。ただ、勝手に期待して、勝手に落胆する自分が嫌なだけだからと付け加えると、さっくんが勢いのまま抱きしめてきて私はよろけた。結構この子はパワーがある。
「おい佐久間！ふっかに見たらお前殺されるぞ！！」
「こんないたいけな少女を慰めるなと言うのかね！？」
「場所！場所ヤバいから！！」
家族間でもスキンシップ多めというさっくんのこの行動は、もう去年から慣れたもので。
勿論そこに友情以外ないことはお互い理解してる。私も弟を相手にしてる気持ちになるから特別気にしたことは無かったけど、確かにひーくんの言う通り、ふっかに怒られるさっくんは見たくないのでやんわりと断る。
「ありがとさっくん。でもほんとに大丈夫。」
まだ心配そうな顔を向けるさっくんにスポドリを渡すと、渋々納得したようでそれを受け取った。
「噂では聞いてたけど…ほんとに拗れてるね。」
「噂？！」
宮ちゃんがそんなことを言うので、一体どんな噂だと問い詰めようとした時だった。
「なーに話してんのぉ？」
「縮む！！縮む！！！痛いって！」
私の頭に両手を乗せて、力一杯押し込むふっか。首折れるって！！
「お前そゆことすっから……まぁいいや。」
「良くない！痛い！！」
「ふっかさん、女の子いじめちゃダメやで！！」
「んぇ？！」
急な関西弁。と思ったら軽くなる頭と首。
振り返ると、多分さっきひーくんが言ってたであろう1年生の靴を履いた3人が立って……1人でかくない？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：函娘 | 作成日時：2023年9月26日 20時
