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実は2個隣の教室らしい。そりゃ確かに会ったことがない訳だ。
ふっかと知り合った経緯とか、2人の話を聞いているうちに日が暮れる。
宮ちゃんはおばあちゃんのお見舞いできたらしいので、もう一度病院に戻るみたいだった。
「また明日、学校でね。」
「うん！また明日ね！」
どこまでも紳士的だなぁ…なんて思っていたら、「…あいつに惚れんなよ。」なんてふっかが言ってきた。
「…ふっかって、実は男色…痛い痛い！！！」
「ほ、ん、と、お、ま、え、は！！…もうそれでいいや……帰ろ。」
そう言って歩くふっかの後ろについて行く。
秋がもう近いのか、西日がすごく眩しい。
「…ねぇ、ふっか。」
「ん？」
立ち止まることも無く、隣に立つわけでもなく、ふっかに声をかけた。
「もし、私がケーキ作ったって言ったら、……嫌、だよねごめんなんでもな……え？」
やっぱり怖くなって、しりすぼみになった私の頭の上に、ふっかの手が乗った。
いつも、この手が乗る時はだいたい頭をこれでもかってくらい締め付けてくるのに。優しく乗るその手が、すごく心地よかった。
「言ったろ？絶対美味いって。」
逆光でよく見えなかったけど、声はすごく優しかった。
「あ、ありがとう。」
「…お前ほんとそういうとこ素直なのずるいわぁ。」
「はい？」
「なんでもない、こっちの話。ほら、帰ろ。」
まるで子供の手を引くように繋がれたその手は、玄関の前まで続いた。
じわりと伝わる手汗は、ふっかと私が、今同じ緊張感を持っているんだと教えてくれた気がして、少し、嬉しかった。
「今日は、ほんとにありがとう。」
「ん。…そういや結果聞いてなかったけど。」
「ただの貧血。輸血まではいらないけど、酷くなるならもっかい来てって。」
「そか。ま、レバー食えよレバー。直食いしたら？農場に。」
「…。じゃあね！！」
最後の最後まで憎まれ口を叩かれ、感じていた感謝は何処へやら。
ムカついたまま玄関に入ろうとして、ふと呼び止められた。
「A。」
「何？」
なんだ、まだ言いたいことでもあるのかと言わんばかりに睨んでいたら、
「また明日。」
「………え？」
そう言って家に帰ったふっかの顔は、微笑んでいた。
……初めて、私に笑いかけてくれた、気がする。あまりにもびっくりしてその場に立ち止まる。
「明日、台風なんて来ないよね？」
ちょっと失礼なことを思っちゃう程に。
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作者名：函娘 | 作成日時：2023年9月26日 20時
