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「いや、だから、多分涼太が勘違い……」
「お嬢さん、」
「お嬢さん?!」
「…お言葉ですが、男性が女性をリードするのは、呼吸をすることよりもあたりまえです。ただでさえ1人で来るのにどれだけの心労があったか、想像を絶しますが、彼の心ない言葉をそんなに庇う必要なんて無いんですよ。」
「心無いなんかじゃないです!それにそもそも、この病院だって私ひとりで来る予定で……」
「……辰哉、どういうことだ。」
「だから!!勘違いだって!!」
「ここは病院ですよ!お静かになさってください!!」
なんともまぁカオス。
私もつい、頭に血が上ってやり返してしまったし、反省してる。ふっかはふっかで頭を抱えてるし、もう何が何だかよくわかんないけど、ふっかを馬鹿にされてるような気がして、なんか悔しくて、もう17なのに悔し涙が出てきた。でも、ほんとに悔しい。ふっかもふっかで言い返さないし。
「泣くな泣くな、…てかなんでお前が泣くんだよ…」
「だって、ふっか優しいもん!」
「分かったから泣くなって…」
「俺もきつく言いすぎた…ごめん、泣かないで…」
浮かんだ涙を、ふっかは袖口で優しく拭いてくれた。その後はヨシヨシされるし、ポンポンされるし。
……いや、そこまで大号泣してないんだけど。
『Aさん、3番診察室までおいでください。』
「ほら。呼ばれたから行ってこい。」
「うん。」
「辰哉お前!1人で行かせる気か!?」
「…貧血検査聞くのに2人もいるのか?」
「貧血?」
「やっぱり……」と、ふっかがため息と一緒に呟いている。
どういうことかと頭を傾げたけど、「後で説明するから、お前は先に先生の話聞いてきな?」
と言われたので、とりあえずその場はふっかに任せることにした。
「ごめん!」
涼太くん……基、宮舘涼太くんから話を聞いて、私は顔を真っ赤しにした。
勿論、怒っているんじゃない。羞恥で顔が真っ赤になっていた。今ならへそじゃなくておでこでお茶わかせそうな気がする。いやできる。
こんな時に言うのもなんだが、あの保健室の時に感じたものよりも顔が熱い。火を吹きそうなんて揶揄を考えた人は天才かもしれない。今私がまさにそう。
そんな様子を見て、ふっかは笑っている。
「ふっか!!」
「ほら、公園に来てよかったろ?」
「そうじゃない!!」
あれから場所を変えて、急に公園のベンチに座らされたと思ったらまさかまさかの話を聞いて、私は思わず叫んだ。
確かに叫ぶことを考えたら、外がいいけども!!!
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作者名:函娘 | 作成日時:2023年9月26日 20時