思い想われ雨右回れ (ページ24)

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さっきまで落ち込んで、口答えする余裕すらなかったのに。
ちょっとだけ元気な私は、いつもよりふっかに反抗する。ふっかとこういう会話ができるている事が、素直に嬉しい。

「一応言っとくけど、離さなかったのはホント。」
「ご迷惑おかけしました…」
「ホントよ。おかげで今日の部活サボっちまった。」
「ええ！？ひーくんに悪いことしたな…。」

…いやでもその前に繋いでたの貴方ですけどね？とは言えず。
とりあえず思ってたより周りに迷惑をかけてしまったことの方が大事だった。
そんな私を見て吹き出す声が聞こえた。

「ひーくん？」
「よかった、元気そうで。」

カーテンの向こうからひょっこりと現れたのはひーくんだった。
心配してお見舞いに来てくれたらしい。

「Aちゃん、目の前で倒れたから心配したよ。」
「ううん。ごめんね、心配かけて…しかもふっかも……。」
「いーのいーの。こいつも役得だから。」
「はい？」
「おい照お前部長会議とか言ってたろ！」
「はいはい。あ、マネの件、明後日ね！お大事に！」

そう言ってひーくんは保健室を後にした。
心做しか、ふっかの機嫌が少し悪くなった気がする。

「…ほんとにごめん、付き合わせちゃって。」
「ったくホントだよ。今度埋め合わせしてもらうから。」
「…今月ピンチなんですよね……。」
「なんで俺が金銭たかるやつみたいになってんだよ。」

違うの！？と言えばまた睨まれたので目を逸らした。

「あ！そうそう言い忘れてた。」と、ひーくんが走って戻ってきた。

「ん？なに？」
「はよ行け。」
「まぁまぁ。2人とも、お幸せにね。」

そう言って私たちの間……繋がれている手を指さして、私は顔を赤くした。

「ひーくん！！！！」
「だからはよ行け！！！」
「はーい。」

なんだか妙な空気になってしまったけど、驚いた拍子に話した手は熱いのに、くっついてた部分が冷えていく感触がして、それがまた更に私の顔を赤くさせた。

「あ、あの、荷物、取ってくる！」
「あるよ。」
「はやっ。」

そう言って差し出すふっかの顔色は全く変わってなくて。緊張したのが自分だけのかと思ったら、段々と落ち着いて行った。
まぁ、そりゃそうだろうなと、自分に言い聞かせる。
倒れた挙句手まで握って引き止めて、更に勝手に意識してるなんて、ふっかからしたら迷惑だろうなと思えば、頭はどんどん冷静になっていく。